
小野薬品の滝野十一代表取締役社長COOは8日、2026年3月期決算説明会で会見し、今後の業績展望について「欧米日でのオプジーボの段階的な特許切れと新製品の上市が相俟って売上収益は多少デコボコするが、2030年頃から上昇の形が見えてくる」と明言。その上で、「コストを抑えて利益を維持しつつ将来の成長と研究開発への投資を継続し、パイプラインをもう少し増やして30年からの再成長に繋げたい」と力強く語った。
滝野氏は、グローバル事業の拡大と加速にも言及し、「2027年度の海外売上比率は、2026年度の13%から16%を見込んでいる」と紹介し、「国内事業にもしっかり取り組んだ上でのデサイフェラ製品の成長とパイプライン充実により、2030年から2035年には海外売上比率50%を突破する」見通しを示した。
小野薬品の26年3月期決算は、売上収益5157億8500万円(対前年比5.9%増)、コア営業利益1371億3500万円(同21.7%増)、コア当期利益1034億9900万円(同14.5%増)となり、売上収益は過去最高を更新した。過去最高の売上収益は、「キンロック(消化管間質腫瘍)とロンビムザ(腱滑膜巨細胞種[TGCT])の想定を上回る伸長によるもの」(滝野氏)。コア営業利益は、経費効率を背景に大幅な増益を達成。コア営業利益も、同指標導入後で最高益を更新した。
27年3月期の業績予想は、売上収益4550億円(対前年比11.8%減)、コア営業利益1240億円(9.6%減)、コア当期利益930億円(10.1%減)を見込んでいる。売上収益の減少は、主にフォシーガ錠(糖尿病、心不全、腎不全)のアストラゼネカとの共同販売契約終了に起因するもの。25年度のフォシーガ錠の売上実績は882億円。コア営業利益は、積極投資と減収の影響等を受け9.6%減を想定している。27年度の研究開発費(1430億円)は、将来成長を見据えて売上収益比30%水準の投資を継続する。
現在、小野薬品は、①デサイフェラ製品を軸としたグローバル成長②パイプラインの充実、③オプジーボのライフサイクルマネージメントを中心とした既存製品の最大化ーを3本柱にサステナブルな成長実現を目指している。
デサイフェラ製品では、キンロックの売上高が24年度255億円、25年度384億円。25年度は、売り上げ予想を24億円も上回る伸長を示した。26年度売り上げ予想は430億円。ピーク時の売上予想は、500~700億円。25年2月に米国、25年9月に欧州で承認を取得したロンビムザの売上高は、25年度83億円で当初予想を上回るペースで市場浸透が進捗している。26年度は190億円を見込んでおり、ピーク時売上予想は、500~700億円。ロンビムザについて滝野氏は、「希少疾患であるTGCT市場は、疾患認知度向上と適切な治療開始が重要となる」と指摘し、「今後、これらの啓発により、さらなる拡大を期待している」と述べた。
米国FDAが審査中のチラブルチニブ(再発・難治性中枢神経系原発リンパ腫、米国申請中)にも言及し、「P2試験(PROSPECT試験)では、奏効率67%、完全奏効率44%の良好な結果が得られた」と紹介。さらに、「処方箋薬ユーザー法に基づく審査終了目標期日は本年12月18日で、現在、米国での販売開始に向けた準備をしている。チラブルチニブのピーク売上予想は200~300億円で、デサイフェラとして米国で3製品目のグローバル製品になる」と期待を寄せた。
パイルラインの充実では、サパブルルセン/ONO-0530(真性多血症治療薬、P3、ピーク売上予想500~1000億円)、ONO-4578(EP4拮抗胃がん一次治療、P2完了、ピーク時売上予想1000億円以上)、ONO-2808(多系統萎縮症、P2完了、ピーク売上予想1000億円以上)等がグローバル成長ドライバーとして挙げられる。滝野氏は、「我々は、将来の成長に向け、これらの開発品に加えて、もう1~2品目程度、M&Aも含めたグローバル製品を導入したい」と話す。
国内の成長ドラーバーには、Povetacicept(IgA腎症と原発性膜性腎症、P3)、セノバメート(てんかん部分発作、申請)、GelーOne(変形性関節症、P3)等があり、これらを含めた想定ピーク時売上合計は500億円以上に上る。
一方、従来のオプジーボ静注製剤は、米国の2028年を皮切りに、2030年欧州、2031年に日本で特許切れする。こうした中、小野薬品では、「皮下注製剤の開発」、「コンビネーション」、「適応拡大」のライフサイクルマネージメントを積極的に推進し、「その原資をパイプライン拡充、グローバル展開へと繋げていく」構想を描いている。
オプジーボの皮下注製剤は、2024年12月に米国で、それに引き続き欧州でも上市され、一年半が経過した。滝野氏は、「欧米では、静注製剤の4割弱が皮下注製剤に切り替わっており、日本でも同様に切り替わればパテントクリフはなだらかなものになる」との見解を示す。
その上で、「今後、欧米日でのオプジーボの段階的な特許切れとデサイフェラ製品や期待のパイプラインの上市が相俟って売上収益は多少デコボコするが、2030年頃から上昇の形が見えてくる」と断言。「コストを抑えて利益を維持しながら将来の成長と研究開発への投資を継続して30年からの再成長に繋げたい」と抱負を述べた。
