FRONTEOと慶應義塾大学医学部の岸本泰士郎 教授(医科学研究連携推進センター)らのグループは31日、両者が共同開発したうつ病の診断支援を目的とする会話型AIプログラムで2件の特許権を取得したと発表した。
同会話型AIプログラムは、患者と医療従事者の約10分間の自由会話をAIで解析するもの。医師による診断の支援をはじめ、疾患・症状の早期発見手法の確立や、診断における客観的エビデンスの確保を目的としている。
発明の名称は、うつ症状判定装置、判定モデル生成装置および学習データ生成方法(特許第7807764号、特許第7807765号)。登録日は、本年1月20日。
うつ病は、診断に心理的評価を要し、症状の主観性が高く、社会的スティグマ(偏見)などによって、受診が遅れる可能性があり、未受診の潜在患者が多いことも課題の一つだ。
このため、うつ病の診断では、患者が①実際にうつ病を罹患している「状態(State)」と、②うつ病を罹患しやすい「性質・素養(Trait)」の2つの観点から判定することが重要とされている。
今回、FRONTEOと慶應義塾大学医学部は、早期診断・早期治療を要する「状態(State)」の判定と、患者の受診遅れの解消につながる「性質・素養(Trait)」の判定をそれぞれ行う2つの会話型AIプログラムについて、特許権を取得した。
同会話型AIプログラムの社会実装により、精神神経疾患を専門としない医療機関においても、より客観性の高い診断支援の実現が期待される。さらに、医師と直接面会できない遠隔医療の現場をはじめ、産業医による診療、健康診断施設や脳ドックなど、幅広い医療・ヘルスケア領域での活用が可能となり、未受診の潜在患者の受診へのハードルを下げることへの貢献をはじめ、うつ病を取り巻く多様な社会的ニーズへの対応が可能になる。
厚労省によると、日本人の約15人に1人が生涯でうつ病を経験するとされており、うつ病を含む「気分[感情]障害」で医療機関を受診している外来患者数は、2023年時点で約156万6000人と精神疾患患者の中で最多である。
その一方で、世界精神保健調査の日本調査によれば、うつ病患者のうち医療機関を受診している人は42.9%に留まっている(うち28.6%が精神科医、21.4%が一般医を受診)。医療ニーズのある半数以上の患者が十分に医療につながっておらず、うつ病は“受療ギャップ”の大きい疾患であることが示唆されている。


