アステラス製薬は1日、ファイザーと共同開発中の抗体-薬物複合体(ADC)「パドセブ」(一般名:エンホルツマブ ベドチン、遺伝子組換え)とPD-1阻害剤「キイトルーダ」の併用療法について、欧州医薬品庁(EMA)が筋層浸潤性膀胱がんを対象とした適応追加承認申請を受理したと発表した。対象は、シスプラチンを用いた化学療法に不適応の筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)患者を対象とした術前術後の補助療法。
同申請は、P3相EV-303試験(KEYNOTE-905試験)結果に基づくもの。EV-303試験において、併用療法群は手術単独群と比較して、腫瘍の再発、病勢進行または死亡のいずれかが起こるリスクを60%減少させ、死亡単独のリスクを50%減少させた。
EV-303試験における安全性は、以前に報告した試験の結果と同様であり、新たな安全性上の問題は確認されなかった。
欧州では毎年22万4000人以上が膀胱がんと診断されており、その中でもMIBCが大きな割合を占めている。MIBCは膀胱がんの約30%を占め、現在の標準治療はシスプラチンを用いた術前化学療法とそれに続く手術である。だが、MIBC患者の約半数がシスプラチン不適応であるため、手術以外の治療選択肢が限られている。
今回の申請に対するEMAの欧州医薬品委員会(CHMP)による承認勧告と、欧州委員会(EC)による承認可否判断は、2026年中に得られる見込み。
なお、同件によるアステラス製薬の通期業績への影響は、通期(2026年3月期)連結業績予想に織り込み済み。

