肺動脈性肺高血圧症治療薬「エアウィン」 日本で新発売 MSD

 MSDは18日、アクチビンシグナル伝達阻害剤の肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬「エアウィン」について、同日、二本国内で新発売したと発表した。
 薬価は、エアウィン皮下注用45mg1082.630円、同60mg1441.677円。エアウィンは、PAHの本態である肺血管リモデリング(肺血管を構成する細胞が異常に増殖し、血管の壁が厚くなること)を標的とした新規作用メカニズムを持つ治療薬である。
 細胞増殖を促進するアクチビンシグナル伝達を阻害することでシグナル伝達のバランスを改善し、肺血管平滑筋細胞の増殖を抑制し血行動態を改善する。非臨床モデルでは、これらの細胞に対する作用により、血管壁厚の減少、右室リモデリングの減少、ならびに血行動態の改善が認められた。
 同剤は、標準的なバックグラウンド療法を受けているPAHの成人患者(WHO機能分類クラスIIおよびIII)を対象とした、海外P3試験(STELLAR試験)および国内P3試験(020試験)等の結果に基づき、肺動脈性肺高血圧症を効能・は効果として2025年6月24日に製造販売承認を取得した。
 肺高血圧症は、心臓から肺に血液を送る血管である肺動脈の血液の流れが悪くなることで、肺動脈の血圧が高くなる疾患である。肺動脈の血圧が高くなると、心臓の右心室に負担がかかり、やがて右心不全に至る。肺高血圧症を治療せずに放置すると、数年以内に命を落としてしまう場合もある。
 PAHは、肺高血圧症の一種で、肺血管リモデリングなどが生じ、肺血管が狭くなることにより発症する。PAHは厚生労働省の指定難病(難治性呼吸器疾患)であり、認定を受けた患者は4682名(2023年度)と年々増加している。近年、PAHは治療薬の開発が進み、既存薬の併用療法によって治療成績は改善しているが、PAHの予後にはいまだに課題が残っており、さらなる治療選択肢が求められている。

◆プラシャント・ニカムMSD代表取締役社長のコメント
 本日、PAHの新たな治療薬として『エアウィン®』を発売できたことを大変嬉しく思う。PAH治療薬としては肺の血管を広げる薬が主に使用されているが、「エアウィン」はPAHの根本原因を標的とした初めての治療薬である。この革新的な医薬品を通じて、PAHの患者さんに新たな希望をお届けできるものと確信している。

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