フォシーガ P3試験で心不全の症状負担感および健康関連QOL改善効果確認 アストラゼネカ

 アストラゼネカは8日、フォシーガについて、P3相DELIVER試験において駆出率が軽度低下または保持された患者の症状の負担感および健康関連 QOLを改善する結果を取得したと発表した。
 同試験結果により、フォシーガの投与開始後2週間以内に臨床的ベネフィットが認められ、早期治療開始の重要性が浮き彫りになった。
 DELIVER 試験から得られたデータの事前に規定された解析からの所見は、フォシーガがプラセボと比較して駆出率が軽度低下または保持された心不全(HF)患者さんの症状の負担感および健康関連の生活の質(QOL)を改善したことを示した。
 この試験結果は、8日、米国イリノイ州のシカゴで開催された2022年米国心臓協会学術集会(AHA)で発表され、Journal of the American College of Cardiology 誌に掲載された。
 駆出率が軽度低下または保持している心不全患者では、死亡および入院のリスクの上昇に加えて、症状の負担感や身体的制限が特に大きく、生活の質が不良であるため、健康状態の改善が疾患管理の重要な目標となる。
 DELIVER 試験の事前に規定された解析では、カンザスシティ心筋症質問票(KCCQ)を使用して、幅広い健康アウトカムに対するフォシーガの効果について検討した。
 同解析では、標準治療にフォシーガを追加した併用療法が、プラセボと比較して症状負荷、身体的制限およびKCCQ平均スコアで評価した生活の質が改善し、治療開始からわずか1ヵ月という早期に治療ベネフィットを達成した。
 ベネフィットは、8カ月時点でも維持されており、プラセボと比較して、総症状スコアで平均2.4点、身体的制限で1.9点、臨床サマリースコアで2.3点、全体サマリースコアで2.1点の改善が認められた(すべて p<0.001)。
 また、8ヵ月時において、プラセボ群と比較してフォシーガ群で大幅な悪化を示した患者は少なく、多くの患者で、評価したKCCQドメインすべてにおいて健康状態の改善を示し、スコアの軽度(5 点以上)、中程度(10 点以上)、大幅(15 点以上)な増加が見られた。 ベースライン時に症候性の障害が重度である患者ほど、駆出率が軽度低下または保持された患者における心血管(CV)死および心不全(HF)の悪化に対するフォシーガのベネフィットが得られるものと考えられる。
これらの結果は、臨床診療におけるSGLT2阻害剤の広範な使用およびガイドラインに従った薬物療法の早期開始を推奨している米国心臓病学会、米国心臓協会、および米国心不全学会が共同で発行した心不全ガイドライン2022年更新版を裏付けるものである。

◆Mikhail Kosiborodミズーリ大学カンザスシティ校医学部教授のコメント
 心不全患者さんの多くは、死を回避することと少なくとも同じくらいに症状や身体機能を重視しているため、これらの結果には非常に大きな臨床的意義がある。
 軽度に駆出率が低下し駆出率が保たれている心不全患者さんは特に健康状態が不良であることを考慮すると、心不全患者、特に症候性の患者さんにおいて、SGLT2阻害剤の使用開始を積極的に検討するようこれらの結果が臨床医を後押しするはずである。

タイトルとURLをコピーしました