フラットアイアンヘルスは24日、同社の英国、ドイツ、⽇本におけるがん研究ネットワークが過去1年間で3倍に拡⼤したと発表した。
これは、リアルワールドデータ(RWD)を活⽤してがん医療の向上と研究の推進に取り組むヘルステック業界のリーディングカンパニーである同社の取組みにより、グローバルのがん研究の連携とインパクトがかつてないスピードで加速していることを⽰す重要なマイルストーンだ。
フラットアイアンヘルスは、世界中の患者集団、治療傾向および診療実態を反映できる⾼品質なRWDへのアンメットニーズに応えるため、⽶国外のインターナショナル市場での事業展開を本格化した。
わずか5年で、同社はヨーロッパおよび⽇本において、30以上の学術医療機関、⼤学、病院・地域医療機関からなるグローバルネットワークを構築。⾮識別化された患者データをもとにRWDデータベースを構築した。
主な提携先には、英国のLeeds Teaching Hospitals NHS Trust、University Hospitals of Leicester NHS Trust、Newcastle Hospitals NHS Foundation Trust、ドイツのKlinikum Stuttgart、⽇本の国⽴がん研究センター東病院、国⽴がん研究センター中央病院、名古屋⼤学病院、愛知県がんセンター、東京科学⼤学病院などがある。
さらに、フラットアイアンヘルスは、インパクトのあるエビデンス創出を最⼤化するため、より幅広いデータ利⽤者との連携も推進している。例えば、ドイツのエッセン⼤学病院(University Hospital Essen)との協業では、フラットアイアンヘルスの複数国由来のRWDが活⽤され、その成果はNature Cancer誌に掲載され、ASCO GU学会でも発表された。
また、フラットアイアンヘルスは、過去2年間で7本の複数国由来のRWDを活⽤した研究論⽂を発表している。同社のTrusted Research Environment(TRE、Lifebit CloudOS により提供)と呼ばれるプラットフォームを通じて⼤規模な患者単位データへの安全かつ直接のアクセスを実現している。
ESMO Real World Data and Digital Oncology 誌には、⽇英独の研究者、ソフトウェアエンジニア、がん専⾨医が協⼒し、各国のRWD特性について詳述した論⽂が掲載された。この研究では、フラットアイアンヘルスのTREの活⽤により、各国におけるデータ管理とコンプライアンスを維持しつつ、グローバルコホートの解析が可能であることを⽰した。同論⽂で紹介された⼿法とアプローチは、世界中の研究者が多様な医療システムにおける治療傾向やアウトカムの調査を可能とし、⾼品質なグローバルエビデンス創出を促進する。
フラットアイアンヘルスは、グローバルのがん研究ネットワークを通じて、各地域での質の⾼い研究を⽀えている。英国・ドイツ・⽇本を除く多くの国々では、研究に必要とされる品質・⽅法論的妥当性・最新性を備えたローカルデータソースが依然として不⾜している。
この課題に対応するため、フラットアイアンヘルスは「Flatiron FORUM(Fostering Oncology RWE Uses and Methods)」というグローバルコンソーシアムを設⽴した。製薬企業やアカデミアと連携し、がんのRWDの国境を越えたトランスポータビリティ(転⽤可能性)に焦点を当てた研究ポートフォリオを推進している。
Flatiron FORUMでは、関係者が具体的なユースケースを策定し、新たな解析⼿法を導⼊し、英国・ドイツ・⽇本を含む多国間での転帰の⼀般化可能性を検証する。こうした協働的な取り組みにより、薬事規制や医療アクセスに関する重要な課題に対応し、より信頼性の⾼いエビデンスの創出と世界中の患者の治療成果の向上に寄与する。
フラットアイアンヘルスは、⽶国における⼤規模なRWDデータベースに加え、英国、ドイツ、⽇本の3カ国においても、より代表性の⾼いがんのデータセットの構築に注⼒している。こうした取組みにより、研究者、臨床医、政策⽴案者によるデータの活⽤が進み、がん治療に関する重要な研究課題の解明が促されることで、グローバルのがん研究のさらなる発展に貢献していく。
◆ネイサン・ハバード フラットアイアンヘルスのチーフビジネスオフィサーのコメント
前例のないグローバルネットワークの拡⼤により、各地域におけるがん患者に提供される医療の質の向上と、新たな多国間研究の実施が可能となる。パートナー医療機関やその先の患者さんにとっての可能性が根本的に変わりつつある。すでに多くのパートナー医療機関の研究者が、従来のデータソースでは解明が難しかった複雑な研究課題への答えを⾒出し始めている。標準治療や治療傾向の把握から、HTA(医療技術評価)や規制当局の意思決定の⽀援に⾄るまで、リアルワールドエビデンスの応⽤が広がり、世界中のがん医療の前進に貢献している。
◆坂東英明国⽴がん研究センター東病院 医薬品開発推進部部⻑のコメント
フラットアイアンヘルスは、地域の医療慣習や患者背景を的確に捉えた実臨床の研究コホートの構築に注⼒している。がんの地域差を正しく理解することは、世界規模での標的治療戦略の構築に不可⽋であり、信頼性の⾼いエビデンスを創出するには極めて重要である。
◆Geoff Hall氏(英国リーズ・ティーチング・ホスピタルズNHSトラスト腫瘍内科・デジタルヘルス教授兼腫瘍内科医)のコメント
フラットアイアンヘルスRWDは、英国のがんレジストリを強⼒に補完するものであり、新たな臨床的な深さと最新性を加えることで、重要なエビデンスギャップの解消に貢献している。フラットアイアンヘルスのグローバルのがん研究ネットワークとFlatiron FORUMを活⽤することで、国内外の研究や医療現場にとってより深く有益な知⾒を得ることが可能になっている。
これにより、臨床現場での新たな発⾒や規制当局の意思決定を⽀援し、さらには英国を含む世界中の患者さんにとってより良い治療成果につながることが期待される。
