参天製薬は5日、Ryjuneaについて、小児の近視進行抑制を適応症に欧州委員会から承認を取得したと発表した。
対象は、治療開始時に3~14歳で、年間0.5D(ジオプトリー)以上の進行が見られる-0.5 D~-6.0 Dの近視患者。D(ジオプトリー)は、近視の程度を表す等価球面屈折度数である。
同剤は、EMEA(Europe, Middle East and Africa)事業地域における承認申請および商業化を目的としてSydnexis社から参天製薬スイス現地法人のSanten SAにライセンス供与されている。
今回の承認は、欧州医薬品庁の医薬品委員会が示した承認勧告を受けたものであり、小児近視の進行抑制に関する臨床試験の1つであるP3相 STAR試験に裏付けられている。
同試験でRyjuneaは、プラセボと比較して、2 年間で近視の進行を年間30%抑制し、安全性および忍容性の点で良好な評価を示した。
近視は、多くの場合、小児期の早期に発症し、急速に進行することもある。対処しないまま放置された場合、将来、深刻な眼疾患を発症するリスクがより高くなる。近視は、日常の活動や学習といった小児の健康的な生活に影響を及ぼすおそれがある。
欧州では、2050年までに小児および青少年の約3人に1人が近視になると予測されている。近視は通常、眼鏡やコンタクトレンズで矯正され、これらは屈折異常の矯正はできるが、その進行を抑えるものではない。
これまで、欧州では、近視の進行抑制を目的として承認された薬物療法はなかった。なお、日本においては、同剤と同じくアトロピン硫酸塩水和物を有効成分とする国内初の近視進行抑制点眼剤「リジュセア」を本年4月に発売している。
◆ピーター・サルスティグ参天製薬チーフ メディカル オフィサーのコメント
本剤の承認により、眼科医は、近視の進行を抑制するためのエビデンスに基づいた薬物による治療法を選択することが可能になる。近視のお子さんを持つ親御さんにとって、子どもの視力が年々低下していくのを目の当たりにするのは、非常に心配なことだ。
本剤は、近視に対して早期に対処する機会を提供する。低用量アトロピン点眼薬である本剤は、1日1 回、就寝前に投与する。子どもの日常生活に無理なく取り入れられるため、近視の管理がしやすくなる。
◆マリアンティ・プサハ参天製薬EMEA事業統括のコメント
本剤を欧州の患者さんに届けることは、本地域の小児の近視に取り組むうえで重要なマイルストーンとなる。これは、世界中の人々の視力を守りたいという我々の思いを形にしたものであり、幼少期から患者さんのためにイノベーションを届けるという使命を明確に示すものである。