オプジーボとヤーボイ併用療法 米国FDAが切除不能・遠隔転移有する肝細胞がんの一次治療薬で承認 小野薬品

 小野薬品は14日、オプジーボとヤーボイの併用療法について、米国FDAが切除不能または遠隔転移を有する肝細胞がんに対するファーストライン治療として承認したと発表した。11日に ブリストル・マイヤーズ スクイブ社(BMS)が公表したもの。
 適応症は、切除不能または遠隔転移を有する肝細胞がん(HCC:最も一般的な原発性肝がん)の成人患者に対するファーストライン治療。
 オプジーボとヤーボイの併用療法は、P2相CheckMate-040試験の結果に基づき、2020年に米国FDAより迅速承認を取得しており、過去にソラフェニブの投与を受けたことのある進行HCC患者に対するセカンドライン治療として確立している。
 FDAの今回の決定により、この既存の適応症は完全承認に切り替わり、CheckMate-9DW試験の結果に基づき、この適応症はファーストライン治療での使用に拡大される。
 今回の承認は、全身療法による治療歴のない切除不能なHCC患者を対象に、オプジーボとヤーボイの併用療法を治験担当医師が選択したチロシンキナーゼ阻害薬単剤療法(レンバチニブまたはソラフェニブ)と比較評価した国際共同無作為化非盲検P3相試験(CheckMate-9DW試験)の結果に基づいている。
 同試験では、オプジーボとヤーボイの併用療法は全生存期間(OS)および奏効率(ORR)において、対照群と比較して統計学的に有意な結果が示された。同試験は、オプジーボとヤーボイの併用療法が対照群と比較して良好な結果を示したFDAの承認を裏付ける唯一の臨床試験である。
 対照群の85%がレンバチニブ、15%がソラフェニブの投与を受けたCheckMate-9DW試験では、オプジーボとヤーボイの併用群(n=335)のOS中央値は23.7カ月(95% CI: 18.8-29.4)であったのに対し、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法群(n=333; HR=0.79; 95% CI: 0.65-0.96 P=0.018)のOS中央値は20.6カ月(95% CI: 17.5-22.5)であり、オプジーボとヤーボイの併用群では死亡リスクが21%低下することが示され。
 オプジーボとヤーボイの併用群では、3年生存率が38%であったのに対し、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法群では24%であった。また、同試験において、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法群では、ORRが13.2%(95% CI: 9.8-17.3; P<0.0001)であったのに対して、オプジーボとヤーボイの併用群では36.1%(95% CI: 31-41.5)と高い奏効が示された (完全奏効は6.9% vs 1.8%、部分奏効は29.3% vs 11.4%)。
 奏効期間中央値(mDOR)は、オプジーボとヤーボイの併用群で30.4カ月(95% CI: 21.2-NR)、レンバチニブまたはソラフェニブの単剤療法群で12.9カ月(95% CI: 10.2-31.2)であり、オプジーボとヤーボイの併用群の方が奏効期間が長いことが示された。なお、DORは統計学的な階層的検定に含まれていないため、検出力のある評価項目ではない。
 オプジーボとヤーボイの併用療法の安全性プロファイルは確立されており、新たな安全性シグナルは認められなかった。オプジーボとヤーボイの併用療法における警告および使用上の注意には次のものがある:肺炎、大腸炎、肝炎および肝毒性、内分泌障害、腎機能障害を伴う腎炎、皮膚副作用、その他の免疫介在性副作用を含む重篤で致死的な免疫介在性副作用、輸液関連反応、同種造血幹細胞移植(HSCT)の合併症、胚・胎児毒性、多発性骨髄腫患者がオプジーボをサリドマイド類似物質およびデキサメタゾンと併用した場合(十分に管理された臨床試験以外では非推奨)の死亡率の上昇。

◆CheckMate-9DW試験の治験担当医師を務めたAiwu Ruth He氏(メドスター・ジョージタウン大学病院、MD, PhD)のコメント
 肝がんの発生率が過去40年間で3倍に増加している中でHCC患者さんの予後は依然として不良であることを考慮すると、CheckMate-9DWの承認は患者さんにとって重要な進歩である。奏功が示された新たなファーストライン治療によって、このタイプの肝がん成人患者さんに長期生存のベネフィットをもたらし、アンメットニーズの克服を支持し得るものである。
 特に、一定の治療効果を持つ対照群との比較試験において堅固な結果が得られたことを踏まえると、オプジーボとヤーボイの併用療法は、切除不能または遠隔転移を有するHCC患者さんに対するファーストライン治療の標準治療となる可能性があると考えている。

◆Wendy Short Bartie BMS腫瘍領域製品戦略部門シニアバイスプレジデントのコメント
 オプジーボとヤーボイの併用療法をファーストライン治療としてHCC患者さんに提供することは、私たちが研究に継続的に取り組み、がんと共に生きる人々のために重要な進歩をもたらしていることの証である。
 今回の承認は、長年にわたり患者さんへの価値をもたらしてきた当社の免疫療法薬2剤による併用療法の治療成果を礎にしたものである。この重要な治療法が適応症に追加されたことを嬉しく思う。今週だけで消化器領域におけるオプジーボとヤーボイの併用療法の2つ目の承認取得となり、必要としている患者さんに新たなファーストライン治療を提供できることを楽しみにしている。

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