グラム陰性菌感染症治療薬「セフィデロコル」 リアルワールドデータで良好な臨床効果確認 塩野義製薬

 塩野義製薬は8日、グラム陰性菌感染症治療薬「セフィデロコル」について、欧州地域におけるリアルワールドデータにおいて、良好な臨床効果が確認されたと発表した。
 同データは、イギリス・フランス・スペイン・イタリア・ドイツの欧州5ヶ国において、グラム陰性菌感染症と診断され、72時間以上連続してセフィデロコルが投与された患者のデータを解析したもの。
 その結果、WHOの最優先リストに分類されるグラム陰性菌に感染した、治療選択肢が限られた患者に対する良好な臨床効果が確認された。さらに、他抗菌薬からセフィデロコルへの切り替えや追加による救済療法での投与と比べ、経験的または確定的治療として早期からセフィデロコルが投与された患者の臨床的治癒率の方が高い傾向が示された。
 これらの研究結果は、4月11日からオーストリアのウィーンで開催される第35回欧州臨床微生物学感染症学会(ESCMID Global 2025)で発表される。同研究でセフィデロコルが投与された567例の患者背景、および解析結果は次の通り。

【患者背景】
・登録患者の70%以上がカルバペネム耐性菌に感染していました。また、55.9%が集中治療室(ICU)で重篤な状態にあり、41.3%が人工呼吸器など生命維持のための臓器機能補助を受けていた。

・最も多く報告された感染症は呼吸器感染症で全体の50%以上(229名)を占め、次いで尿路感染症が12%(73名)であった。

・世界保健機関(WHO)の最優先リストに分類されるグラム陰性菌3が主な病原体として観察された。(Pseudomonas aeruginosa(緑膿菌)41.3%、Acinetobacter baumannii、15.0%、Enterobacterales、14.6%)

【解析結果】
 セフィデロコルによる治療の全体的な臨床的治癒率は65.3%で、良好な臨床効果が確認された。また、他抗菌薬からの切り替えや追加による救済療法としてセフィデロコルが投与された場合の臨床的治癒率(58.2%)と比べ、経験的治療または確定的治療として早期からセフィデロコルが投与された場合の臨床的治癒率(64.6%、67.4%)の方が高い傾向が示され、薬剤耐性菌による感染症が疑われる患者へのセフィデロコルの早期かつ適切な使用に対する新たなエビデンスが示された。

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