新型コロナ検出RT-PCR検査用試薬の製造販売承認取得 シスメックス

国内完結型生産体制構築で安定供給を実現

 シスメックスは15日、新型コロナウイルスの RNAを検出するSARSコロナウイルス核酸キット「DetectAmp SARS-CoV-2 RT-PCRキット」について、体外診断用医薬品としての製造販売承認を取得したと発表した。14日に製造販売承認を取得し、同日付で保険適用された同製品は、PCR反応時間の短縮と新型コロナウイルスRNAの高感度検出を可能にするのが大きな特徴だ。
 また、変異株(英国変異株、南アフリカ変異株、ブラジル変異株)について理論上検出できる可能性が基礎実験で実証されており、今後、臨床検体を用いてその性能を確認する予定だ。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の診断で主に利用されるPCR検査は、国内において4月10日現在、約2万人/日に実施され、延べ982万人まで増加している。
 一方、今回のパンデミックでは、PCR検査の試薬やその原料を海外に依存したため、グローバルにおけるPCR検査の需要過多により、国内での原料調達、試薬の供給不足が生じた結果、PCR検査の普及遅延が社会問題となった。
 現在、日本国内の感染者数が増加傾向にあり、検査体制の強化とPCR検査などの試薬の安定供給が重要視されている。
 今回、シスメックスが製造販売承認を取得したのは、鼻咽頭ぬぐい液、鼻腔ぬぐい液、唾液などに含まれる新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)の RNA を検出するSARSコロナウイルス核酸キット「DetectAmp SARS-CoV-2 RT-PCRキット」。
 同製品は、高速PCRに対応した酵素を用いて、SARS-CoV-2 RNAの増幅から結果出力までを約40分で実現し、最低検出感度8コピー/テスト(CLSI準拠の試験方法で評価)で高感度にSARS-CoV-2 RNAを検出する。
 また、同製品の主原料および容器などについて国内で調達可能な原料を採用し、20万テスト/月の生産から開始するとともに、順次生産体制を強化する。国内完結型の生産体制の構築により、将来のパンデミックで予測されるグローバルにおける原料供給不足に影響されない、高品質な製品の安定的な供給を実現する。
 さらに、川崎重工業、メディカロイドと実用化した、ロボットを用いた全自動システムと本製品を活用し、1250テスト/8時間の検査を実現する。
 加えて、検体不活化液(別売)とRNA抽出キット(別売)の使用により、ウイルス不活化作業の省略と、通常輸送に対応した検査フローを実現。医療従事者および検体輸送者など、COVID-19検査業務に関わる人々の安全確保に寄与する。
 

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