リリーは20日、クローン病治療薬「オンボー」(ミリキズマブ)について、投与患者の大半が2年後の時点で持続的な臨床的寛解と内視鏡的改善を維持したVIVID-2非盲延長試験結果を発表した
同試験において、中等症から重症の活動期クローン病の治療のためオンボーの投与を2年間受けた患者(うち43.8%は生物学的製剤が効果不十分であった患者)の大多数で、長期にわたり臨床的および内視鏡的アウトカムの達成が認められたもの。
同試験結果からオンボーは、クローン病と潰瘍性大腸炎のいずれにおいても、複数年にわたる持続的な有効性と安全性を示した初のIL-23p19拮抗薬となった。試験データは、サンフランシスコで2月6~8日に開催されたCrohn’s and Colitis Congress (CCC、クローン病・大腸炎会議)で発表された。
オンボーは、腸管の炎症に大きく関与する特定のタンパク質であるインターロイキン-23p19(IL-23p19)を標的とすることで、消化管内の炎症を軽減する。
P3相VIVID-1 試験でオンボー群に割りつけられ、1年時点で内視鏡的改善を達成した患者が、VIVID-2試験に参加しオンボーによる維持療法を受けた。
VIVID-1試験における1年間を含め合計2年間の継続投与を受けた患者を対象としたobserved case解析では、次の結果が認められた。
・ VIVID-1試験の1年時点で臨床的寛解を達成した患者のうち、2年時点で臨床的寛解を維持した患者の割合は92.9%であった(クローン病活動指数(CDAI)に基づく評価)。
・ VIVID-2試験で投与を受けた患者のうち、内視鏡的改善を維持した患者の割合は87.6%でした。内視鏡的改善は、内視鏡所見に基づくSES-CD(Simple Endoscopic Score for Crohn’s Disease)スコアがベースラインから50%以上低下することで判定された。
・ 1年時点でCDAIに基づく評価で臨床的寛解を達成しなかった患者のうち、2年時点で臨床的寛解を達成した患者の割合は60.8%であった。
・ 1年時点で内視鏡的寛解を達成しなかった患者のうち、2年時点で内視鏡的寛解を達成した患者の割合は35.4%であった。
VIVID-2試験に参加した中等症から重症の活動期クローン病患者におけるオンボーの長期安全性プロファイルは、既知のオンボーの安全性プロファイルと概ね一致していた。オンボーの継続投与の1年時点で内視鏡的改善がみられた患者のうち、投与2年目に重篤な有害事象が現れた患者の割合は6.8%、有害事象のため投与を中止した患者の割合は0.8%であった。
オンボーは、本年1月に米国FDAより、中等症から重症の活動期クローン病の成人患者の治療薬として承認された。昨年12月には、欧州医薬品庁(EMA)のヒト用医薬品委員会(CHMP)が、中等症から重症の活動期クローン病の成人患者の治療薬としての承認を勧告する肯定的見解を採択した。
リリーは、カナダ、日本および中国など世界各国において適応追加申請を提出しており、今後さらなる国・地域での申請を予定している。
オンボーは現在、中等症から重症の活動性潰瘍性大腸炎の成人患者を適応として現在世界44カ国で承認を取得している。
◆Edward Barnesノースカロライナ大学チャペルヒル校の消化器・肝臓内科准教授(MPH)のコメント
クローン病とともに生きる人々の多くは、様々な治療を試しても効果が得られなかったり、治療を続けているうちに効果が失われたりする経験をしている。
今回得られた複数年にわたる良好なデータは、腸管の治癒を含む長期的なアウトカムの達成や維持に貢献する薬剤として、医療従事者がオンボーを信頼するに足る結果と言える。
◆Mark Genoveseリリー自己免疫疾患開発部門シニアバイスプレジデントのコメント
リリーは、炎症性腸疾患によって多大な影響を受けている患者さんのために、効果持続の判定基準を高く設定している。これらの結果は、オンボーが臨床的、内視鏡的、組織学的に良好な結果をもたらし、早期に意義のある改善と長期的な疾病コントロールが可能であることを示すエビデンスとなった。