1年前倒しで3期ぶり最終黒字転換へ 住友ファーマ

木村氏

 住友ファーマは31日、2024年度第3四半期決算説明会を開催し、木村徹社長が「基幹3製品の売上拡⼤およびコストマネジメントの効果発現により3期ぶりに最終黒字化転換する」見通しを示した。
 その上で、「気を緩めることなくさらに再建促進する」と決意表明し、「最終黒字化転換見込みに伴い、2024年度通期業績予想を上方修正する」と語った。
 同社は、24年度は資産売却(200億円)してコア営業利益10億円を達成し最終赤字160億円、25年度に資産売却無しで最終利益の黒字転換を目指していたが、1年前倒しで黒字化を達成する見込となった。 上方修正した2024年度業績予想(コアベース)は次の通り(カッコ内は従来予想比)。
 売上収益3810億円(430億円増)、コア営業利益300億円(290億円増)、営業利益210億円(210億円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益160億円(320億円増)。
 同社の売上収益を牽引する米国の基幹3製品は、オルゴビクス(進行性前立腺がん治療剤)、マイフェンブリー(子宮筋腫・子宮内膜症治療剤)、ジェムテサ(過活動膀胱治療剤)。
 その中で2024年度の売上収益予想は、オルゴビクスが785億円で、当初想定(516億円)を大幅に上回る。マイフェンブリーは122億円で、ファイザーとの提携販売を終結し、本年1月より住友ファーマアメリカによる自社単独販売に移行。これに伴う繰延収益を⼀括計上した。
 ジェムテサは、628億円で、昨年4月に競合品の後発品が参入したものの総処⽅箋枚数、新規処⽅箋枚数に影響なく、順調に推移している。
 木村氏は、マイフェンブリー⾃社単独販売の利点として、「ジェムテサのプライマリケアチーム活⽤で売上⾼への影響を最⼩化」、「利益折半がなくなり粗利改善」、「効率的な投資にってマーケティングコストの影響を最⼩化」を挙げ、「今後の開発は当初の計画に沿って⾃社単独で推進する」考えを示した。
 なお、売上が好調なオルゴビクスは、「これまで通り、ファイザーとの提携を継続する」
 一方、コストマネジメント面では、販管費は、主に⽇本における事業構造改⾰等による費⽤削減により減少。研究開発費も選択と集中により削減した予算が維持されている。加えて、住友化学との再⽣・細胞医薬事業の⼀体運営(⾮連結化)が減少要因となった。
 木村氏は2024年度の最終黒字転換予想に対し、「様々な取組を進めてきた中で予想以上に早く結果が出てきたことは非常に嬉しい」とした上で、「我々の再建はまだまだ途に就いたばかり。気を緩めることなくさらなる再建を促進していきたい」と兜の尾を占めた。
 さらに、2025年度について、「米国ではアプティオム(抗てんかん薬)が5月にLOE(単独期間の満了)を迎える。国内ではエクアに続いてエクメット(2型糖尿病治療薬)の独占期間が終了する」と説明。その上で、「こうしたハンディを乗り越えて業績を伸ばす必要がある。より一層しっかりと取り組みたい」と訴えかけた。

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