武田薬品は10日、がん患者を対象とした血液検査および診療フローにおける院内待ち時間の影響を評価する観察研究を開始したと発表した。
同研究は、全身化学療法を投与予定または投与中の18歳以上のがん患者を対象に、 全身化学療法実施日前に協力医療機関において採血を実施し、採血結果を医師が事前に入手することにより、化学療法実施当日の患者の院内での待ち時間の短縮に寄与できるかを評価するもの。
同研究の主要評価項目は、事前採血医療機関の滞在時間と化学療法実施日の受付開始から診察開始までの待ち時間、副次評価項目は、事前採血医療機関の滞在時間と化学療法実施日の受付開始から化学療法開始までの待ち時間。同研究の患者登録期間は本年10月からを予定し、データ集計後、解析を行い、結果の公表を2025 年度中に予定している。
2023年に武田薬品はがん患者、医療関係者を対象とし、がん治療における課題の市場調査を実施した。その結果から、がん患者、医療関係者ともに定期的かつ長期間に及ぶ抗がん剤治療の通院において、患者は長い待ち時間がもたらす物理的・心理的ストレスを抱えていることが示唆された。
また、がん診療に携わる医療従事者においては、拠点病院に患者さんが集中しており、医師の働き方改革としてタスクシフト/シェア(医師の業務を複数の職種で分け合う「業務の共同化」)の推進が必要とされている。
同研究は、がん患者の通院治療における医療アクセスの更なる向上と、国の政策である医療DX、病床・機能再編、医師の働き方改革に沿った取り組みである。
◆添田純平武田薬品日本オンコロジー事業部 メディカルアフェアーズ部長のコメント
本研究により、がん患者さんは、病院での診察日前に都合の良い場所で事前に採血を受け、そのデータが医師に届くことで、診察日に病院でスムーズに受診できることが期待される。今後、本研究を通して、患者さんの待ち時間短縮を評価するほか、医療経済専門家の助言をもとに、医療経済視点のデータ評価と解析を実施することで、定量的なエビデンスを確立していく。