ベクティビックスの切除不能進行再発大腸がん対象P3試験で好結果 武田薬品

PARADIGM試験の論文がJAMAに掲載

 武田薬品は19日、ベクティビックス(一般名:パニツムマブ)について、RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がんの日本人患者を対象とした国内P3試験(PARADIGM試験)の好結果がJournal of the American Medical Association(JAMA)に掲載されたと発表した。
 主要評価項目である全生存期間(OS)において、mFOLFOX6 +パニツムマブ併用療法がmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法に対し、統計学的に有意な延長が認められたもの。
 同試験結果の論文は、18 日(米国時間)に JAMAに掲載された。
 同論文では、RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がんの日本人患者を対象に、mFOLFOX6 +ベバシズマブ併用療法と mFOLFOX6 +パニツムマブ併用療法の有効性および安全性を比較したP3相無作為化比較試験のデータがまとめられている。
 主要評価項目である全生存期間(OS)において、原発巣占居部位が左側及び全体、いずれの集団でもmFOLFOX6 +パニツムマブ併用療法がmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法に対し、統計学的に有意な延長が認められた(左側 OS 中央値:37.9vs. 34.3, HR=0.82 [95.798% CI: 0.68-0.99], p=0.03、全体 OS 中央値:36.2 vs. 31.3, HR=0.84 [95% CI:0.72-0.98], p=0.03)。
 なお、同試験におけるパニツムマブ投与時の安全性プロファイルはこれまでに公表された臨床試験結果と同様の内容であった。
 ベクティビックスは、切除不能な進行再発大腸がん(mCRC)の治療薬として FDA により承認された。同剤は、フッ化ピリミジン系、オキサリプラチン、及びイリノテカンを含む化学療法による前治療後の疾患進行後の EGFR 発現 mCRC 患者に対する単剤療法として、 2006 年 9 月に米国で、2010 年に日本で承認・発売されている。

◆同論文共同筆頭著者の渡邉純横浜市立大学附属市民総合医療センター 消化器病センター外科准教授、共同筆頭著者兼同試験ステアリングコミッティ委員長の室圭愛知県がんセンター副院長・薬物療法部部長、同論文責任著者でステアリングコミッティ委員長の吉野孝之国立がん研究センター東病院 副院長・医薬品開発推進部門長のコメント
 PARADIGM 試験の研究成果が、世界で認められている権威あるJAMAに掲載されたことを心より嬉しく思う。
 本試験が大腸がんの治療選択におけるパラダイムシフトにつながり、世界中の大腸がん治療に影響を与え、ひとりでも多くの患者さんのより良い治療結果に結び付くことを心から願っている。

◆内田智武田薬品日本オンコロジー事業部長のコメント
 今回のPARADIGM試験の研究成果のJAMAへの掲載によって、パニツムマブを始めとする抗 EGFR 抗体薬が今後の大腸がんにおける重要な治療選択肢の一つとしてお役に立てること、また個別化治療の進展につながることを願っている。
 当社は、引き続き、新たな治療薬を必要とするがん患者さんに一層貢献できるよう努めていく。

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