mezagitamab 一次性免疫性血小板減少症2b試験で血小板数が迅速かつ持続的に改善 武田薬品

 武田薬品は24日、完全ヒト免疫グロブリン IgG1 モノクローナル抗体「mezagitamab」(TAK-079)について、一次性免疫性血小板減少症を対象とした2b試験において、血小板数が迅速かつ持続的に改善を示し、最終投与(8 週目)から16週目まで8 週間持続したと発表した。
 持続性もしくは慢性の一次性免疫性血小板減少症(特発性血小板減少性紫斑病:ITP)を対象としたmezagitamabの安全性、忍容性および有効性を評価するP2b相、無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験で良好な結果を示したもの
 mezagitamabは、CD38発現細胞(形質芽細胞、形質細胞、ナチュラルキラー細胞を含む)に高い親和性を有し、これらの細胞を減少させる。同剤による治療は、血小板反応の迅速かつ持続的な改善をもたらすようデザインされており、通常、血小板数を正常な機能が得られるレベルまで回復させる。
 ITP は、血小板の破壊の亢進を特徴とする希少な免疫介在性出血性疾患で、血液中の血小板数の減少と消耗性出血の増加を引き起こす。
 これらのP2b試験の結果は、タイ・バンコクで開催された第 32 回国際血栓止血学会で発表された。武田薬品は、ITP 患者を対象としたmezagitamabの国際共同P3試験を 2024 年度下期に開始する予定である。
 TAK-079-1004試験(NCT04278924)は、慢性もしくは持続性のITP患者を対象に、3 つの用量(100 mg、300mgおよび 600 mg)を週1回、8週間にわたり皮下投与した後に8週間を超えて安全性追跡調査を行い、プラセボと比較評価したもの。
 主要評価項目は、グレード3以上の有害事象、重篤な有害事象、および投与中止に至った有害事象を含む、試験治療下で有害事象を発現した患者の割合である。副次評価項目は、血小板反応、血小板反応の完全寛解、臨床的に意義のある血小板反応、止血血小板反応だ。
 P2b試験の結果、評価した3つの用量すべてにおいて、プラセボと比較して mezagitamab の投与により、血小板反応が大幅に改善することが示された。
 mezagitamab 群では、血小板数の迅速かつ持続的な増加(治療閾値50,000/μL 以上)が認められ、その効果が最終投与(8 週目)から16週目まで8週間持続したことから、血小板反応が迅速かつ治療後の効果も示された。 
 評価した血小板反応におけるすべての指標は、mezagitamab 600mg 群で最も高く、具体的には、81.8%が血小板反応の完全寛解、90.9%が臨床的に意義のある血小板反応、100%が止血血小板反応を達成した 。
 疾患活動性に関連した出血性の有害事象が1件以上発現した患者は、mezagitamab 群の方がプラセボ群よりも少ない結果となった(17.9%対 46.2%)。
同試験は、ITP患者においてmezagitamabの安全性および忍容性プロファイルが良好であり、新たな安全性シグナルは検出されず、安全性プロファイルはこれまでに実施された mezagitamab の試験と一致していた。
 mezagitamab 群とプラセボ群で、投与中止に至った有害事象、グレード3以上の有害事象、および重篤な有害事象はそれぞれ、14.3%と0%、17.9%と23.1%、および14.3%と7.7%であった。

◆ITP の第一人者で同試験発表者のDavid Kuter氏(M.D., D.Phil.)のコメント
 現在利用可能な治療法があるにもかかわらず、ITP 患者さんの疾患負荷が依然として大きく、ITP 患者さんが忍容できる疾患修飾治療が必要とされている。今回のP2b試験の結果は、mezagitamabが有効性および安全性プロファイルが良好であることを示している。ITPにおいてベスト・イン・クラスの有効性を示す可能性を有するこの抗 CD38 モノクローナル抗体について、さらなる臨床的エビデンスを得る準備が整った。

◆Obi Umeh武田薬品Vice President・ Franchise Global Program Leader(M.D., M.Sc.)のコメント
 今回のP2b試験の結果を、ISTHでLate-Breaking Abstract としての発表に選んでいただけたことを光栄に思う。これらの結果に基づき、当社は 2024年度下期にITP患者さんを対象としたmezagitamabのP3試験を開始する予定で、アンメットニーズの高い治療領域で革新的な医薬品を創出するという当社の目標に向け、さらに取り組んでいきたい。

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