国内特約店向け一部輸送をトラックから鉄道輸送へ切り替え
武田薬品は28日、三菱倉庫およびJR貨物とCO2排出削減を目指し、武田薬品の国内特約店向け医療用医薬品輸送の一部をトラックから鉄道輸送へ切り替えるモーダルシフトの取り組みを開始すると発表した。
国内における医療用医薬品の輸送においては、現在トラック輸送が主流となっており、武田薬品でも医療用医薬品輸送を三菱倉庫に委託し、主にトラックを利用した輸送を行ってきた。
鉄道輸送については、様々な輸送機関の中でCO2排出量が少なく、環境への負荷が少ない輸送手段と言われているが、医療用医薬品輸送においては振動、温度管理等の課題も多く、鉄道輸送への切り替えが進んでいなかった。
一方、農産品、工業製品、積合せ貨物等の輸送スキームにおいては、既に鉄道輸送への切り替えが実現している。
今回、武田薬品、三菱倉庫およびJR貨物は、国内の鉄道輸送による医療用医薬品配送の可能性について各種検証を行った結果、温度管理可能な鉄道コンテナを用い、各種セキュリティ対策等を施すことで、医療用医薬品の品質を適正に管理しながら、医薬品の適正流通(GDP: Good Distribution Practice)ガイドラインに準拠した輸送が実現できるものと判断し、一部の国内特約店向けの輸送を10月より鉄道へ切り替えることになった。
具体的には、鉄道輸送にかかる許可取得後、東京から北東北地区への幹線輸送部分を鉄道へ切り替え、その前後の輸送のみをトラック輸送することで、当該輸送におけるCO2排出量を現行比約60%減となる削減効果を見込んでいる。
加えて、長距離トラック輸送の軽減により、物流の2024年問題への対応にも大きく貢献していく。
今後は、順次鉄道輸送のエリアや対象特約店を拡大していく予定だ。なお、同輸送についても、2022年1月より運用しているデータプラットフォーム「ML Chain」を利用し温度情報・位置情報を可視化し、鉄道コンテナ輸送において国内でいち早くエンドツーエンドにおけるシームレスな医薬品輸送品質管理を実現する。
武田薬品、三菱倉庫およびJR貨物は、同取り組みのエリアおよび対象となる特約店を拡大し、さらに推進することで、地球環境負荷低減に貢献していく。
◆グレッグ・ティモンズ武田薬品グローバル マニュファクチャリング&サプライ ジャパン ヘッドのコメント
我々は、地球環境の負荷を低減しながら、患者さんに高品質な医薬品を安定的にお届けし続けることに責任を感じており、この取り組みはその責任を担うための一環である。今回の三菱倉庫およびJR貨物とのパートナーシップは、医療用医薬品の輸送において新たなスタンダードを確立し、環境への配慮とイノベーションを結びつけられたことを嬉しく思う。
この取り組みを加速し、他の企業にも前向きな影響を与える努力を続けていく。
◆若林仁三菱倉庫専務執行役員のコメント
今回の取り組みは、医薬品メーカーとその物流パートナー、鉄道事業者の3社が協業したことで、それぞれの顧客へ信頼のおける品質を担保したまま確実な輸送を行うことを実現した。
この新たな取り組みが、地球環境の負荷低減につながり、持続的なサプライチェーンの一助となることを喜ばしく思う。今後も環境に対する様々な取り組みを加速させていく。
◆高橋秀仁JR貨物の執行役員鉄道ロジスティクス本部営業統括部長のコメント
今回の取組によって、GDPガイドラインに準拠した鉄道輸送が検証されたことで、国内医薬品輸送における鉄道輸送の可能性が広がったものと認識している。本取組を通じて、国内医薬品輸送における、環境に優しい、持続的なサプライチェーンの構築に今後も貢献できるように努めていく。