遺伝性血管性浮腫の早期診断実現目指すコンソーシアム設立・運営を支援  武田薬品

 武田薬品は25日、デロイト トーマツ コンサルティング合同会社(DTC)、鳥居薬品およびCSLベーリングの3社と協業し、遺伝性血管性浮腫(HAE)診断コンソーシアム(略称:DISCOVERY)の設立・運営を支援すると発表した。
 HAEは、その希少性ゆえに、疾患認知率は一般的に低く、また診断が極めて難しいなどの理由で、多くの患者が適切な診断がなされず何年も苦しんでいる。
 日本の有病率は5万人に1人と言われ、国内で診断・治療中患者は430名程度との報告があり、推定される国内の患者数に対し20%に留まっている。
 また、初発から診断までの平均期間(日本:13.8年、欧米:10年未満)は、欧米と比べると大きなギャップがある。
 同コンソーシアムは、こうした国内の状況においてHAEと診断されずに症状に苦しむ患者を救うために、日々HAE患者と向き合っている医療従事者、学会、患者団体、民間企業などが連携し、それぞれの持つ異なる専門性や創造性を通じて適切な早期診断および診断率向上のためのエコシステム構築を行うことを目的とした、ユニークな構想の患者エンゲージメント型コンソーシアムである。
 同コンソーシアムにおいてDTCは、事務局として参画し、デロイト トーマツ グループが有する会計、税務、法務、経営等の専門性に加え、ライフサイエンス・ヘルスケア領域における知見と産官学連携の経験をもとに、同コンソーシアムの設立・運営に加え、産官学連携を通じた各施策の構想・展開を促進・支援する。
 また、HAE領域に関わる製薬企業である武田薬品、鳥居薬品、CSLベーリングは、同コンソーシアムの参加会員(法人)として、同コンソーシアムの立ち上げを支援し、今後は施策の提案及び運営の支援を行う。
 なお、同コンソーシアムにおいては、製薬企業である3社が自発的に協業を呼びかけ、支援を行うという新しい形で取り組んでいる。4社はこれまで異なる立場での専門性や英知などを結集させ、同コンソーシアムの企画段階・立ち上げから支援してきた。
 今後は、さらに、IT企業の複数参画により、急速に成長しているデジタルテクノロジーを積極的に活用したイノベーティブな取り組みを展開する。
 HAEは、主に遺伝子の変異が原因で血液の中にあるC1インヒビター(C1エステラーゼインヒビターまたはC1インアクチベーターともいう)の低下およびその機能が低下する疾患である(稀にC1インヒビターの量、機能共に正常なタイプも存在する)。
  体のいたるところに2から3日持続する腫れやむくみ(血管性浮腫という)を繰り返す。 個人差があるが、10歳から20歳代に発症するケースが多く、皮膚(手足、顔面、生殖器など)が腫れた場合は、一見すると「じんま疹」に似ている場合があるが、強いかゆみを伴わないのが特徴だ。
 特に、のどが腫れる場合は呼吸困難におちいり、生命の危険をきたす可能性がある。一方、お腹(胃や腸)が腫れると腸閉塞と同様に嘔吐したり、強い痛みを感じるケースがある。

 ◆遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアムの概要は、次の通り。

法人名:一般社団法人遺伝性血管性浮腫診断コンソーシアム(Diagnostic Consortium to Advance the Ecosystem for Hereditary Angioedema、略称:DISCOVERY)
所在地:埼玉県草加市松原1丁目7番22号
設立:2021年2月8日
ウェブサイト:https://discovery0208.or.jp/
代表理事:秀 道広氏 / 堀内孝彦氏
理事:大澤勲氏 / 橋村知波氏 / 山本ベバリーアン氏
監事:中谷(吉村)祥二郎氏
参加会員:[法人]武田薬品 / 鳥居薬品 / CSLベーリング / HAE患者会 くみーむ / NPO法人HAEJ
[個人]大澤勲氏 / 佐々木善浩氏 / 田中暁生氏 / 田中彰氏 / 野本優二氏 / 秀道広氏 /廣瀬智也氏 / 福永淳氏 / 堀内孝彦氏 / 本田大介氏 / 薬師寺泰匡氏 / 山下浩平氏
事務局:デロイト トーマツ コンサルティング合同会社
事業内容:
(1)遺伝性血管性浮腫の診断に関するテクノロジーを活用した医療データ分析技術の開発及び普及事業
(2)遺伝性血管性浮腫の適切な早期診断を実現するための医療従事者サポート事業
(3)遺伝性血管性浮腫に対する啓発活動事業
(4)遺伝性血管性浮腫に関する専門家及び関連団体との交流、支援及びネットワーク構築事業
(5)その他前各号に掲げる事業に附帯又は関連する事業

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