‟患者のための薬局ビジョン”実現に向け規制改革等での薬剤師の課題クリアを 大阪府薬総会で乾会長が強調

乾氏

 大阪府薬剤師会は17日、同会館で第21回定時総会、第146回通常代議員会を開催し、乾英夫会長が16日に政府が閣議決定した「骨太の方針2023」と「規制改革実施計画」について言及。規制改革実施計画の中で薬局・薬剤師に関連する4項目として、①訪問看護ステーションの中での薬剤配置、②調剤業務の一部外部委託、③要指導薬品のオンライン服薬指導の推進、④在宅での薬剤師による点滴業務の推進ーを挙げ、「今後、我々が掲げている‟患者のための薬局ビジョンの実現”や、掛かり付け薬剤師業務をしっかりと果たすには、これらの項目をしっかりとクリアして行かねばならない」と訴求した。
 総会・代議員会では、2022年度事業・決算報告を承認した。大阪府薬の2022年度経常収益は6億9648万8641円、経常費用は7億1546万6104円で、収支差額1897万7463円は、一般正味財産で補填した。一般正味財産期末残高は、38億0367万1958円。
 骨太の方針2023では、薬局に関連する事案として、「リフィル処方箋への対応」、「セルフメディケーションへの対応」、「対人業務の充実」、「対物業務の効率化」、「医療EXの推進」が盛り込まれている。
 乾氏は、これらの対応への重要性を指摘した後、「医師会、歯科医師会と連携して、骨太の方針の中に、来年4月実施されるトリプル改定(診療・介護・障害福祉)の診療報酬において、‟物価高騰への対応”の組み込みを要望した」と報告。加えて、「トリプル改定だけでなく、第8次医療計画の中で、薬局・薬剤師がしっかりと活躍できるように大阪府と協議を進めている。薬剤師職能が、地域住民のみなさんにきちんと発揮できるように尽力したい」と訴えかけた。
 一方、規制改革実施計画については、「訪問看護ステーションの中での薬剤配置は、在宅医療での緊急時にしっかりと薬剤供給ができていないことがその背景にある」と断言。
 さらに、「薬剤師は24時間対応の問題に向き合うと共に、地域の医師会、訪問看護ステーションなどとしっかりと連携しながら、具体的に薬剤師がどのような活動をすれば良いかを検討していく必要がある」と強調した。
 調剤業務の一部外部委託は、昨年7月に「薬剤師のあり方ワーキング」において、「対人業務の充実に繋がる」との考えが示された。これ受けて昨年度に厚労省がガイドラインを策定し、今年度は「実際に、対人業務の充実につながるのか」を実証するスケジュールが示されている。
 こうした中、本年3月、ファルメディコが国家戦略特区による保険調剤業務一部外部委託を提案したことにも触れ、「調剤業務の一部外部委託が、患者にとって本当にメリットがあるのか、薬剤師の対人業務の充実につながるのかをしっかりと検証していく必要がある」との考えを示した。

渡嘉敷氏

 渡嘉敷奈緒美前衆議院議員は、あいさつの中で、「製薬企業から国に向けてのメッセージにおいて、‟防衛費や少子化対策の費用を、決して社会保障から拠出しない”および、‟産業として健康産業をきちんと育成してほしい”の2点が重要であるとグローバル製薬企業トップにアドバイスしてきた」と報告。
 さらに、「薬剤師も規制改革実施計画等で攻め込まれているが、DA、DIのデータもうまく使いながらこの荒波を乗り越えて、新しい挑戦をしてほしい。そうすれば薬剤師がイニシアチブを取ることができる」と断言した。最後に、「私もこれ以上下がれないところまで来ている。秋以降に、衆議院解散が濃厚になって来るのでお力添え頂きたい」と呼びかけた。

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