おならは腸を育てた結果の産物。腸を上手に育てよう!
ビオフェルミン製薬は31日、本年1月に20~69 歳の男女 300人を対象にインターネットで実施した『「おならに関する意識調査」結果を発表した。
調査結果では、自分の腸内フローラや腸内環境が気になる理由として「おならが気になるから」と回答した人は 26.2%、自分のおならの回数が1日「3回以下」と答えた人は 42.4%に上り、「健康な人はおならが少ない」と誤解している人が多いことが判明した。
また、健康な人のおならの回数についても 1 日「3 回以下」と回数が少ないイメージをもつ人が約半数(49.0%)に上った。
話題にするには、ちょっと恥ずかしい“おなら”。おならは、腸にたまったガスが肛門から排出される 気体で、無意識のうちに、1 日10回前後のおならをしている。
だが、「健康な人はおならが少ない」といった誤解や「においがある時とない 時がある のはなぜ?」といった疑問も多い。必ず出るものならば、においがなく、音も出ない“良いおなら”を目指したいもの。そこで、ビオフェルミン製薬では、まずはおならにつ いての“理 解 度”と“関心度 ”を ア ン ケ ー ト調査で探った。
また、調査結果を踏まえて、“おなら博士”とも呼ばれている大毛宏喜広島大学病院副病院長・感染症科教授が、おならの原因や対策方法について解説した。おならに関する意識調査結果の詳細と大毛氏のコメントは次の通り。
【おならに関する意識調査結果の詳細】
◆自分の腸内フローラや腸内環境が気になる理由として「おならが気になるから」と回答した人は 26.2%。
「自分の腸内フローラや腸内環境が気になるか?」という質問に対して、「はい」と回答した145人にその理由を聞いたところ、「おならが気になるから」という回答は4 番目に多く、約3割(26.2%)の人がおならと腸内環境が関係していると考えていることが分かった。
◆自分のおならの回数が1日「3 回以下」と答えた人は42.4%。また、健康な人のおならの回数についても1日「3回以下」と回数が少ないイメージをもつ人が約半数(49.0%)。
20-60 代の男女300人に1日に何回くらいおならをしているかを聞いたところ、「3 回以下」と回答した人は42.4%(「0回:11.7%」+「1~3回:30.7%」)であった。
また、健康な人のおならの回数は1日に何回ぐらいだと思うかについても聞いてみたところ、「3 回以下」と回答した人が49.0%(「0 回:12.7%」+「1~3回:36.3%」)とほぼ半数に。
おならの回数が少ない人ほど“健康”と認識している人が多いことがうかがえた。
◆おならが出る原因は「食べ物(いも類など)の影響」(37.3%)と回答した人が最も多く、次いで「腸内環境の悪化」(32.7%)、「腸内の悪玉菌の増加」(30.3%)。
おならが出る原因で多かった回答は、1位が「ガスが発生しやすい食べ物(いも類など)の影響」(37.3%)、続いて「腸内環境が悪化することでガスが生じるため」(32.7%)、「腸内の悪玉菌が増えているから」(30.3%)であった。食べた物や腸内環境が原因と考える人が多いことが分かった。
◆おならが臭くなる原因については、「腸内の悪玉菌が増えているから」(29.3%)がトップ。
おならが臭くなる原因として、「腸内の悪玉菌が増えているから」( 29.3%)、「便秘」(25.3%)が上位に。だが、「理由が分からない」(25.7%)との回答も2位に入っている。においについて困ったり気になったりしていても、原因がわからずそのままで、という人が一定数いることがうかがえる。
◆おならが出るのを我慢した場面について、女性の回答は「人が多い空間」(36.0%)や「電車・バスの中」(32.0%)、「静かな空間」(31.3%)が上位を占め、男性は「特にない」(34.0%)の回答が 1 位に。
「人が多い空間」で、おならが出るのを我慢したことがあるとの回答が 34.7%と最も多くなった。その内、女性は「人が多い空間」(36.0%)や「電車・バスの中」(32.0%)、「静かな空間」(31.3%)で我慢しているのに対し、男性は「特にない」(34.0%)と答えた人が最も多い結果となったた。
◆おなら対策で気をつけていることは「特になし」(58.3%)の回答が多く、それ以外の回答もばらついているため、対策方法が分からず対処できていない可能性が高い。
おなら対策で気をつけていることについて聞いたところ、「特になし」が最も多く 58.3%であった。女性の回答では5人に1人が「便秘の改善を心がけている」( 19.3%)と回答。便秘に悩む女性の多さを改めて認識させられる結果となった。
男女ともに気をつけていることの回答項目にばらつきがあることから、明確な対策方法が分からず対処できていない可能性があると考えられる。
【大毛宏喜氏のコメント】
◆おならの発生メカニズム
おならの元となるのは、飲食する際などに口から飲み込む空気と、腸内細菌が食物繊維を餌として発酵する過程で発生するガスなどが混ざったものである。実は、我々は水100ccを飲むとき、その倍の約200ccの空気を飲み込んでいる。
空気の成分は酸素が約2 割、窒素が約8割。酸素は体内に吸収することができるが、窒素は吸収されないため、げっぷなどで体外に出さない限り、腸まで運ばれおならの元となる。
おならは誰でも出るもので、体に悪いものでは決してない。我慢しても、体内に吸収されることはなく、そのままため込んでしまうことになり、いつかは必ず出るものである。
◆自分に合った食物繊維を
当院の外来には、便秘に悩む患者さんが多く来院される。皆さん野菜を意識して摂取していると言われるが、その多くは生野菜。厚生労働省が推奨する 1 日約20の食物繊維を摂取するには、生野菜だとおよそ1~2㎏摂る必要がある。その量を毎日食べることは難しいので、温野菜や煮物にしてかさを減らしたり、食物繊維が多く含まれている海藻類やキノコ類(しいたけ・舞茸)を意識して選んだりすると良いだろう。
一方で、食物繊維を含む食品は種類もさまざまで、体質によっては合わないものもあると思われる。「食べるとおなかがゴロゴロする」「便がゆるくなる」などの症状がでる食材は控え、自分の体に合うものを上手に見つけて摂取してほしい。
◆おならのにおい
おならは、誰でも少なからずにおいがあるもの。 腸内細菌の活動で発生するガスの99%が無臭、においの元になるのは残り1%のガス。においの元になる成分として代表的なのが「硫化水素」である。
おならは、そのボリュームとスピードによって肛門が振動し、音となるが、音が出ないおなら(いわゆる“すかしっぺ”) と大きな音が出るおならでは、後者の方がにおいが控えめなイメージはないだろうか。
これは、飲み込んだ空気、つまり窒素の割合が多いためにおいが少ないと考えられる。飲み込む空気量が増えるタイミングは人によって異なるが、飲食時のほかに緊張をしているときも空気を飲み込みやすいかもしれない。
◆おならは腸を育てた結果の産物
腸内細菌が食べ物を発酵する過程でおならは発生するが、この発酵は腸の粘膜を育てるために必要な過程でもある。便やおならは腸を育てた結果の産物であり、悪いものではない。腸を上手に育てると体のさまざまなことに良い影響を与える実態が分かってきており、その研究も今後10年でさらに明らかになるだろう。
今のうちから腸を育てる意識が必要である。腸を育てるためには、自分に合った食物繊維を摂ること、おなかの中に良い菌を良い状態で保っておくことが重要だ。
もし、おなかのことで少しでも気になる現象があれば、年齢や性別に関係なく、医療機関の内視鏡検査をお薦めしたい。大腸がんは、女性の死因第1位、男性の死因第2位(2021年)となっているが、早期発見さえできれば治癒の可能性が高くなり、場合によっては手術せずに摘出することも可能である。
健康診断で便潜血を指摘されてからでは、症状が重くなっている場合も少なくない。便やおなら、おなかの不調で違和感があるときは、内視鏡検査を受けるきっかけにしていただければ幸いである。