田辺三菱製薬は14日、4月1日付けで取締役常務執行役員の上野裕明氏が代表取締役社長に、現社長の三津家正之氏が取締役に就任する人事を発表した。
同日、大阪市内の本社で会見した上野氏は、「今、医薬品産業を取り巻く環境は、大きな変革を迎えている」と指摘。その上で、「従来型の医薬品を中心としたビジネスから様々な方向でのビジネス拡大のチャンスをうまく活かしてその機会を捉えたい」と抱負を述べた。
ビジネス拡大のための具体的なポイントとしては、①医薬品とテクノロジーとの融合、②ビジネスの裾野拡大、③グローバル化ーを列挙。
ビジネスの裾野拡大では、「医薬品だけではなく、予防や予後の管理などにも目を向けたい」と明言。グローバル化は、「現在推進している米国を中心に、ヨーロッパ、大きな潜在市場とされるアジアなど、全世界を視野に入れていく」考えを示した。
現在の「中期経営計画16-20」は2021年3月に終了するが、新社長としての具体的な構想は、「新しい中期経営計画の中で発表する」
今回の社長交代発表について三津家氏は、「経営陣の指名委員会が、昨年春から考えていた。三菱ケミカルホールディングスのTOBによる当社完全子会社化が要因になったわけではない」と説明した。
一方、上野氏は、「TOBでは、応募株券比率が91.1%であった。100%にするまで様々な手続きを踏まねばならない。従って、今の段階でいつ100%になるのか、いつ田辺三菱製薬の上場を廃止するのかはコメントできない」と述べた。
上野氏の略歴は次の通り。
1958年9月8日生まれ(61歳)、東京工業大学大学院 理工学研究科 修士課程修了、1983年4月三菱化成工業入社、2005年7月三菱ウェルファーマ創薬本部研究部門創薬第四研究所長、2006年7月同社創薬研究本部化学研究所長、2007 年10 月田辺三菱製薬研究本部創薬化学研究所化学第二部長、2014年4月執行役員研究本部研究企画部長、2015 年4 月執行役員 CMC 本部長、2018年4月常務執行役員創薬本部長 知財・契約部担当、2019年4月常務執行役員 人事部、総務部、海外事業推進部 中国事業統括室、アセアン事業、欧州事業統括室、医療政策部担当、2019年6月取締役常務執行役員 人事部、総務部、海外事業推進部、中国事業統括室、アセアン事業、欧州事業統括室、医療政策部担当、2019 年10 月取締役常務執行役員 人事部、総務・法務部、海外事業推進部、中国事業統括室、アセアン事業、欧州事業統括室、医療政策部担当(現在に至る)、2020 年 4 月代表取締役取締役社長(予定)