GARDPと化合物ライブラリ(5万化合物)を提供する契約締結 田辺三菱製薬

 田辺三菱製薬は24日、GARDPと同社が所有する化合物ライブラリ(5万化合物)をGARDPに提供する契約を締結したと発表した。同契約は、薬剤耐性菌に対する新規抗菌薬の創製を目的としたもの。
 抗菌活性を評価するスクリーニングは、韓国パスツール研究所により実施される。この契約は、薬剤耐性菌による重篤な細菌感染症に取り組むGARDPの取り組みを支援する。
 GARDPは、健康に最大の脅威をもたらす薬剤耐性感染症の新規治療薬を開発するスイスに本部を置く非営利団体である。抗菌薬を必要とするすべての人が、有効で入手可能な価格で治療を受けられるようにするため、2016年にWHO およびDNDi (Drugs for Neglected Diseases initiative:顧みられない病気の新薬開発イニシアティブ) により発足し、2018年に法人化した。
 入院中の成人や子供たちの感染症、新生児の敗血症、性感染症に焦点を当て、薬剤耐性感染症を克服するための新しい治療法を開発している。GARDPは、オーストラリア、ドイツ、日本、ルクセンブルグ、モナコ、オランダ、南アフリカ、スイス、英国、国境なき医師団、ウェルカム・トラスト、民間財団から資金提供を受けて活動しており、GARDP Foundationとして法人登録されている。
 薬剤耐性菌は、その数が増える一方、それらに対する抗菌薬の開発は進んでおらず、急速に増大する世界的な健康の脅威となっており、毎年130万人近くが薬剤耐性菌による感染で死亡している。重篤な細菌感染症、特にグラム陰性細菌感染症は、WHOにより世界的な公衆衛生上の優先事項として特定されている。

◆ローラ・ピドックGARDPのサイエンティフィック・ディレクターのコメント
 これまで抗菌活性についてスクリーニングされたことのない田辺三菱製薬の化合物ライブラリにアクセスできることは大変な栄誉である。韓国パスツール研究所と確立したハイスループットスクリーニング手法により、この好機を生かす体制は整っている。今後もこのような機会に恵まれることを期待している。
 田辺三菱製薬が提供する化合物ライブラリは、WHOがそれらに対する新しい抗菌薬が早急に必要であると判断した細菌に対して評価される。このスクリーニングを通して、 GARDPと田辺三菱製薬は、薬剤耐性菌に対する新たな抗菌薬に繋がる化合物の同定を目指す。
 
◆縄野雅夫田辺三菱製薬の創薬本部長のコメント
 田辺三菱製薬は「病と向き合うすべての人に、希望ある選択肢を。」をMISSIONとして定め、事業活動を展開している。マテリアリティの中では「医療アクセスの向上」を掲げ、マラリア、結核、顧みられない熱帯病(NTDs)であるシャーガス病・リーシュマニア症を対象としたスクリーニングに自社化合物ライブラリを提供し、得られたヒット化合物に基づき創薬共同研究を実施する等、グローバルヘルスに取り組んできた。
 今回、さらに新たな疾患の研究に協力出来ることを大変喜ばしく感じている。

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