新型コロナワクチン「S-268019」 国内製薬企業として初の製造販売承認申請 塩野義製薬

 塩野義製薬は24日、開発中の新型コロナワクチンについて、日本国内での製造販売承認申請を行ったと発表した。国内製薬企業が開発した新型コロナワクチンの承認申請は、今回が初めて。適応症は、成人における、初回免疫(1回目、2回目接種)および追加免疫(3回目接種)による新型コロナ感染症の予防。
 S-268019は、当社グループ会社のUMNファーマが有するBEVSを活用した遺伝子組換えタンパクワクチンである。ウイルスの遺伝子情報から目的とする抗原タンパクを発現・精製後に、アジュバントを添加して投与される。
 BEVSを活用したインフルエンザ予防ワクチンをはじめ、複数の製品がその有効性と安全性を基に承認・実用化されており、確立された技術を活用して製造するワクチンである。
 今回の製造販売承認申請は、国内で実施した5つの臨床試験の良好な結果に基づくもの。主な試験結果として、初回免疫時のS-268019の有効性に関しては、S-268019またはバキスゼブリア筋注の2回目接種から28日後の新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する中和抗体価のGMT(幾何平均抗体価)を主要評価項目とした国内P3相中和抗体価比較試験において、主要評価項目達成基準を満たしている。
 また、追加免疫時におけるS-268019の有効性に関しては、コミナティを2回接種後6ヵ月以上経過した成人を対象に、S-268019またはコミナティの3回目接種から28日後のSARS-CoV-2中和抗体価のGMTおよび抗体応答率を主要評価項目とした国内P2/3相追加免疫試験において、コミナティ群に対するS-268019群の非劣性が検証され、本試験の主要評価項目を達成している。
 安全性に関しては、5つの試験いずれにおいても臨床上の大きな懸念は認められなかった。塩野義製薬では、2022年2月より医薬品医療機器総合機構(PMDA)との事前評価相談を開始し、これまでに得られた非臨床、臨床に関するデータを事前に提出している。
 引き続き、一部データの取得および提出に向けて取り組むとともに、同日付で製造販売承認申請を行った。
 なお、同件が2022年度の連結業績予想に与える影響については、現時点では軽微であるが、今後、状況に応じて精査する。

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