熱中症対策をする人が年々増加し、今年は8割以上に タニタが実態調査

 タニタは、「熱中症に関する意識・実態調査2022」を実施し、その調査結果を発表した。調査では、全国的に記録的な猛暑となった今夏において、生活者の熱中症対策への意識が高まっている実態が明らかになったほか、「熱中症警戒アラート」の認知度が高まっていることなどが分かった。
 「熱中症に関する意識・実態調査2022」は、全国の15歳以上の男女1000人を対象に、2022年8月5日~8日の4日間、インターネットリサーチにより実施したもの。2019年から調査しており、今回で4回目の実施となる。
 今回の調査で特徴的だったのは、熱中症対策を行っていると答えた割合が80.3%となり、熱中症への意識が高まっている実態が明らかになったことだ。
 経年で比較をすると、熱中症対策を行っている人の割合が、20年69.5%、21年74.1%、22年80.3%と年々上昇し、2019年に調査を開始して以降初めて8割を上回った。
 実際に行っている熱中症対策として「暑い日は外出・運動を控える」と答えた割合も20年27.6%、21年31.8%、22年36.4%と年々上昇。「熱中症警戒アラート」が発表された際には、“外出はできるだけ控え、暑さを避けること”が呼び掛けられているが、実際の予防行動として実践する人が増えていることが分かった。
 また、“屋外でマスクの必要がない場面ではマスクをはずすこと”も熱中症予防の観点から推奨されているが、「人と十分な距離があるときはマスクをはずす」と答えた割合は、21年12.3%、22年21.0%と8.7ポイント上昇した。
 コロナ禍に入って3年目となり、“屋外でマスクの必要がない場面ではマスクをはずすこと”も浸透してきている様子がうかがえる。
 総務省消防庁によると、6月から9月に全国で熱中症により救急搬送された人数は、記録的な高温を記録した18年が9万2710人で過去最高となり、次いで19年が6万6869人、20年が6万4869人と、この数年多い傾向が続いたた。
 昨年は、4万6251人と4年ぶりに5万人を下回った一方で、今年は5月から8月28日までで6万4989人となっており、熱中症による搬送者数が大幅に増えている。
 特に、今年6月の救急搬送者数は1万5969人に上り、統計がある2010年以降、6月として最も多い搬送者数となった。気象庁によると今年の6月下旬の平均気温平年差は、東日本で+4.0度、西日本で+3.2度で、夏の始まりのからだが暑さに慣れない時期に異常とも言える暑さに直面したことで、熱中症にかかった人が多かったのではないかと考えらる。
 同調査では、熱中症対策をする人が年々増加していることが分かったが、ここから一歩進んで、複数ある熱中症予防のための対策法の中から周囲の環境や自身の行動と体調を総合的に考えて、行動を取れることが必要だと考えられる。
 今年は、新型コロナウイルスの感染拡大後、初めて政府による行動制限が呼び掛けられていない夏となった。また、7年ぶりに政府による節電要請が出された一方で、ウクライナ情勢等の影響により、電気料金が高騰する状況であった。
 このように生活者を取り巻く環境が変わる中、同調査ではこの夏過ごす場所やエアコンの使用状況、節電意識についても調べた。「夏になっても極力自宅で過ごすようにしている」と答えた割合は68.8%で、新型コロナウイルス感染症の第7波が本格化している状況において、外出を控えようと思っている人が多い様子がうかがえた。
 「今年の夏は節電を心がけている」と答えた割合は56.9%となり、節電を心がけている人が半数以上となった。在宅時のエアコン使用状況について尋ねたところ、【日中】【夜間】【就寝中】のいずれのシーンにおいても「在宅時は常に使用する」が最も高く、3人に1人は在宅時に常にエアコンを使用していることが分かった。
 今夏の節電心がけ状況別にみると、「在宅時は常に使用する」と答えた割合は、【日中】【夜間】【就寝中】いずれのシーンにおいても節電を心がけている人のほうが20ポイント前後低くなった。節電を心がけている人には、節電意識からエアコンを常時使用することを控えている人が少なくない様子がうかがえる。
 一方で「室温が一定の温度以上になったときに使用している」は、いずれのシーンにおいても節電を心がけている人のほうが高い結果となった。熱中症警戒アラートが発表された場合は、“不要不急の外出は避けるとともに、昼夜を問わずエアコン等を使用すること”が奨励されている。
 熱中症についての知識の習得で、自身の体力や体調、周囲の環境などを判断しながら適切にエアコンを使用することができるようになり、熱中症の予防と節電の両立が可能となる。
 気象庁の3カ月予報によると、今年9月の気温は全国的に例年より高くなる見込みである。9月になると朝晩の暑さがやわらいで、涼しく感じる機会が多いが、例年、9月にも熱中症は発生している。引き続き、熱中症への意識を高め、予防していくことが求められる。
 タニタでは、熱中症指数計の製造・販売だけでなく、自治体と協働し住民に対する熱中症リスクの「見える化」や啓発セミナー、熱中症に関する意識・実態調査を行うことなどにより、ハードとソフトの両面から暑さ対策に取り組んでいる。熱中症は対策することで100%予防できる疾病といわれている。今後も、熱中症に関わる商品を展開するとともに、熱中症予防に関するさまざまな情報を発信することで、生活者の健康づくりをサポートしていく。

タイトルとURLをコピーしました