読書が好きでジャンル問わず読みますが、読むスピードが上がるのはファンタジーで、外国のものも大好きです。動画も好んで観ています。
ストーリーには多くの場合「戦わなければならない敵」が登場します。悪い魔法使いや妖怪、悪霊、亡霊やゾンビ、悪の心を持った人間、目に見えないウイルスや獰猛な生き物が世に蔓延ります。
「いいもの」はこれらの悪に対し戦闘を繰り返し、敗れてもそれでもめげずに正義感をもって力を合わせて最後まで諦めずに戦います。何度も何度も繰り広げられる戦いがストーリーの醍醐味です。
ファンタジーの読み物『ダレンシャン』では、登場する悪魔は人の悲しみ、恐れ、執着といったネガティブな心を好み、それらがたくさん溢れ出るような状況を人に与え、悪魔はよりいっそう邪悪な心を太らせ卑劣な喜びを噛み締めます。
『ゲームオブスローンズ』では登場するゾンビは戦うごとに力を増し、自分たちの味方を増やしていき、領域をどんどん占領していきます。その結果いいもの同士の戦いも起こり、戦いの行方には目が離せなくなります。
いいものは、愛と正義と公正さを持ち、優しく勇敢で親切な心を持って悪に立ち向かいます。その愛の力が増してマックスに至ると不思議な力が湧き起こり、これまでさんざん苦しめられた悪に勝つことができるのです。正に愛こそがすべてで、愛はすべてに打ち勝つのです。『美女と野獣』『ハリーポッター』でもこのようなクライマックスのシーンに胸が熱くなります。
中国には、妖怪に魂を奪われた王が享楽に多くの人を巻き込み国を滅ぼしてしまう物語がありました。妖怪とは、人とは思えない悪い行動をとるものに対して説明がつかないので、それらを説明するために作られたものであると読みました。
逆に説明のつかない良い行動は、神様のおかげになるとか。もともと全てのものに魂が宿るという考え方から生まれたとも書かれていました。
このファンタジー論から考えると、繰り返し訪れる流行り病も悪者であったのでしょう。人々は何とかしてこの災難から逃れようと戦って来たのでしょう。神様にも拝みながら。
日本と中国の「薬の神様」について調べてみました。日本では、「因幡(いなば)の白うさぎの伝説は、わが国最古の薬の記録である。大己貴命(おおなむちのみこと)と少彦名命(すくなひこなのみこと)が力を合わせ、国を治め、医療の法を教えたことにより、医薬の祖としてあがめられてきた。奈良の三輪明神、大阪の少彦名神社、東京の五条天神社などが、薬祖神をまつる神社として知られている」とのこと。
一方、中国の神農様は、「中国の薬祖神。古代中国の伝説上の帝王・神農が、草木をなめ、その効能を調べ、教えたという故事から、中国では、医薬の神様としてまつられている」そうです。日本でも、古くからの医家や薬屋を訪ねると、神農像がまつられているのを見ることができるようです。
神様に手を合わせ、お盆にはお墓参りをするなど、私たちの日常は良くなるよう拝むことを自然にしているのだとわかります。
なかなか収束せず新たに次々現れるウイルスとの戦いは古から繰り返しているのでしょうけれど、ファンタジーの悪者と戦うように、勇敢な態度で、薬の神様に敬虔な心を持ち、医療人として少しでもお役に立ちたいと思います。
薬剤師 宮奥善恵