経口新型コロナ治療薬ゾコーバのP3試験 8~9月に初回トップラインデータ提出へ 塩野義製薬

P3試験の進捗状況を踏まえた緊急承認継続審議の比較的早い開催を当局とディスカッション

 塩野義製薬は1日、2022年度第1四半期(2022年4月~2022年6月)の決算説明会の中で経口新型コロナ治療薬「ゾコーバ」の開発進捗状況について報告。同剤のP3試験について、「現在、最終のデータベースブロックに向けて準備を進めており、8~9月にかけて何らかの形で初回のトップラインのデータ速報を出す準備をしている」ことを明らかにした。
 ゾコーバの 国内での実用化については、緊急承認を審議する7月20日に開催された薬事・食品衛生審議会 薬事分科会・医薬品第二部会合同で、P3の進捗状況を踏まえ継続審議となった。
 現在、ゾコーバの臨床試験については、P2/3試験の継続しており、症例登録を完了。P3part(軽症/中等症):1821例、Phase 2b/3 part(無症候/軽度症状)607例に上る。2022年上期中にP3結果速報の入手を予定している。
 なお、P3試験の進捗状況を踏まえた緊急承認の継続審議の開催時期については、当局と比較的早い段階での実施についてディスカッションが行われている。
 一方、ゾコーバの海外実用化の動きでは、 欧米:P2/3試験結果での早期申請に向けてFDA、EMA、MHRAと協議中。中国では、平安塩野義が承認申請に向け資料提出を開始している。中国でのゾコーバの承認時期については、メディカルニーズや他の要素も含めた上での判断となるため、日本の承認よりも早まる可能性、遅くなる可能性のどちらも予測される。
 韓国は、ILDONG社が承認申請に向け当局相談に着手しており、「日本の承認よりも早まる可能性」が示唆された。
 塩野義製薬では、ゾコーバのライフサイクルマネジメントとして、適応拡大に向けた各種試験の準備を行っている。
 具体的には、「家族内で濃厚接触した人の伝播発症発症予防」、「12歳未満の小児の治療」「重症入院患者を対象とした重症化・死亡抑制効果」などの臨床試験を計画・準備している。
 グローバルP3試験では、入院を伴わないSARS-CoV-2感染患者を対象としたSCORPIO-HR試験を開始した。さらに、入院を伴うSARS-CoV-2感染患者を対象としたP3試験の実施も検討している。
 ゾコーバの供給については、グローバル供給体制を構築。自社による年間1000万人分の供給に向け生産拡大しており、さらなる供給拡大に向け、中国、米国での製造を計画している。

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