イミフィンジと術前化学療法の併用療法 非小細胞肺がんP3試験で好結果 アストラゼネカ

 アストラゼネカは7日、イミフィンジと術前化学療法の併用療法について、切除可能な非小細胞肺がんを対象としたP3相 AEGEAN 試験で病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善したと発表した。
 さらに、主要な病理学的奏効(Major Pathological Response:mPR)の統計学的に有意な改善も認められた。同試験は、予定通り継続し、同社、治験担当医師、治験参加者が盲検化された状態で、もうひとつの主要評価項目である無イベント生存期間(EFS)を評価する。
 術前化学療法にイミフィンジを追加した場合の安全性および忍容性は、既知のプロファイルと一貫しており、化学療法単独との比較で、手術可能な患者数の減少は認められなかった。
 世界のNSCLC患者の最大30%が、根治目的の切除可能な早期段階で診断されるにもかかわらず、ステージⅡの患者の5年生存率は56~65%程度に過ぎない。
 さらに、ステージⅢの患者では、5年生存率が24~41%に低下する。
 今回得られたpCRデータは、各国の規制当局と共有され、EFS の試験結果が得られ次第学会で発表される予定である。
 アストラゼネカでは、早期の肺がんに対しイミフィンジを検討する複数の治験を行っており、治験対象には切除可能な NSCLC(ADJUVANT BR.31)、切除不能な NSCLC(PACIFIC-2、4、5、8、9)、限局型小細胞肺がん(SCLC)(ADRIATIC)が含まれる。
 イミフィンジは、P3相PACIFIC試験に基づき、化学放射線療法後に進行が認められていない患者を対象として、切除不能な局所進行(ステージⅢ)の非小細胞肺がん(NSCLC)における根治目的の治療薬として、米国、日本、中国、欧州諸国をはじめ多くの国々で承認され、世界的な標準療法となっている。
 また、同剤は、P3相CASPIAN試験に基づき、進展型SCLCの治療薬として、米国、EU、日本、中国をはじめ多くの国々でも承認されている。
 なお、イミフィンジの日本国内で承認された適応症は「切除不能な局所進行の非小細胞肺癌における根治的化学放射線療法後の維持療法」「進展型小細胞肺癌」である。

◆Susan Galbraithアストラゼネカエグゼクティブバイスプレジデント兼オンコロジーR&D責任者のコメント
 切除可能な肺がんは、早期治療により根治の可能性を最大限にできるが、術前化学療法後に手術を受けたとしても、大半の患者さんが5 年以内に再発する。
 手術前後にイミフィンジによって免疫応答を引き出すことは、画期的な新しい戦略といえる。AEGEAN試験から得られたこれら初期の知見が、潜在的に根治可能なステージにおける肺がん患者さんの生存率改善につながることを期待している。

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