アストラゼネカは25日、アレクシオンファーマが製造販売承認を取得した「オンデキサ」(一般名:アンデキサネット)の販売を同日より開始したと発表した。
オンデキサは、血液凝固に関与するヒト血液凝固第 Xa 因子の遺伝子組換え改変デコイタンパク質で、第 Xa 因子阻害剤に結合し、その抗凝固作用を速やかに中和するようデザインされている。
オンデキサは、直接作用型第 Xa 因子阻害剤関連出血患者に投与されると、第 Xa 因子阻害剤の抗凝固作用を中和する。
現在、日本では、3剤の直接作用型第Xa因子阻害剤が承認されており、非弁膜症性心房細動患者における虚血性脳卒中および全身性塞栓症の発症抑制、静脈血栓塞栓症(深部静脈血栓症および肺血栓塞栓症)の治療および再発抑制、下肢整形外科手術(膝関節全置換術、股関節全置換術、股関節骨折手術)施行患者における静脈血栓塞栓症の発症抑制のために広く使用されている。
これらの薬剤は、血栓が形成されないよう血液の凝固を防ぐ一方で、生命を脅かす重大な出血のリスクを高める可能性があるが、大出血を起こした直接作用型第 Xa 因子阻害剤を服用している患者に対して中和剤はこれまでなく、高いアンメットニーズが存在していた。
オンデキサは、こうした患者に対して新しい作用機序をもつ国内で唯一の中和剤として初めて承認された。オンデキサの承認は、国際共同P3b/4相14-505(ANNEXA-4)試験で得られたデータに基づくもの。
この試験では、直接作用型第Xa因子阻害剤の投与を受けており、急性の大出血を起こした患者を対象にオンデキサの有効性(第 Xa 因子阻害剤の抗第 Xa 因子活性の中和効果、および止血効果)と安全性が評価された。
オンデキサはいずれの第Xa因子阻害剤を投与した患者でも、同剤を静脈内投与後には抗第Xa因子活性を速やかかつ有意に低下させた。
また、投与後 12 時間の時点で患者の79.6%(258/324例)に有効な止血効果が確認された。
副作用の発現頻度は、11.9%(57/477例)で、主な副作用は、虚血性脳卒中 1.5%(7/477例)、頭痛 1.0%(5 /477 例)、脳血管発作、心筋梗塞、肺塞栓症、発熱各 0.8%(4 /477 例)、脳梗塞、塞栓性脳卒中、心房血栓症、深部静脈血栓症、悪心各 0.6%( 3 /477 例)であった。
なお、オンデキサについては、アレクシオンファーマが製造し、アストラゼネカが国内における保管・流通管理(供給・分配・在庫管理)および販売を担当する。
また、同製剤に関する情報提供、ならびにファーマコビジランス(GVP)に関わる安全性情報の収集は、アストラゼネカのMRが担当する。
オンデキサは、第 Xa 因子阻害剤であるアピキサバンまたはリバーロキサバン投与中に大出血を起こした患者に対する中和剤として、2018年5月にFDAより迅速承認制度による承認を受け、2019年4月に欧州委員会から条件付き承認を取得した。
日本では、2019年11月19日付で希少疾病用医薬品に指定されている。希少疾患について日本では「対象患者数が本邦において 5 万人未満であること」と定義されている。
希少疾患においても治療における医薬品の重要性に変わりはないが、需要の少なさから研究開発が進みにくいなどの課題がある。アレクシオンファーマは、生命を脅かす重篤な希少疾患を抱える患者のために、画期的な治療薬の開発、提供を続けている。