国立病院機構京都医療センターとセラバイオファーマは15日、高吸収クルクミン製剤「クルクルージュ(食品)」を使った新型コロナ感染症に対する臨床試験の参加者を募集していると発表した。
この臨床試験は、同日、両者が共同研究契約を締結したもので、2月3日に認定臨床研究審査委員会の承認を受け、臨床研究法の下、特定臨床研究として科学的エビデンスの構築のために実施される。
同試験で使用されるクルクミンは、新型コロナウイルスの感染(細胞侵入)や増殖を抑えたり、過剰な炎症を抑制したりするなど、新型コロナに対して、有益と考えられる様々な効果が、細胞や動物での試験で示されている。
特に、同試験に使用するクルクルージュは、ウコンの活性成分であるクルクミンを高度な技術で高吸収化し、通常の未加工クルクミン分子に比べると、200倍前後の吸収最大値(動物での血中濃度)を実現している。
また、ヒト試験でも既存の高吸収クルクミンと呼ばれるものと比べても最大血中濃度が5.4倍もあることが確認されている。(Journal of Functional Foods 81(2021) 104443)
最近行った免疫力に関する臨床試験では、今回の新型コロナに対する臨床試験に使うものと同じ高吸収クルクミン(クルクルージュ)を高齢者が服用したところ、新型コロナの予後の指標で、免疫力の指標でもある好中球/リンパ球比を改善する結果が得られている。
新型コロナの現状は、オミクロン株が支配的であり、さらに感染力の高いBA.2も市中感染を起こし始めている。全国で50万人を超える在宅療養者がおり、また無症状·軽症の人もたくさんいる。ただ、基礎疾患のあるヒトや、高齢者が感染すれば重症化する場合がある。重症化率が低くても、莫大な数の感染者の存在が現在の病床のひっ迫をもたらしている。
だが、こうした状況の中で、無症状の方の発症を止め、感染伝搬を抑制する有効な方法が見つかっていない。 セラバイオファーマでは、こうした課題に対して、手軽に利用でき、安全性が高く、安価な、高吸収タイプのクルクミンであるクルクルージュを使い、無症状のヒトの感染増悪·発症を防ぐことで、ウイルス伝搬·パンデミックの抑制を目指している。
クルクミンには、1 .感染阻止、2.増殖阻害3.炎症抑制、4.免疫力の改善の4つの作用が期待できる。同臨床試験では、新型コロナへの感染が確認され、まだ症状が出ていない人を対象に、プラセボとクルクルージュ(ともにカプセル)を経口摂取し、熱が出る·酸素飽和度が下がるといった症状が出るか否かを確認して、クルクルージュがプラセボ群に比べて発症や病状信仰抑制効果があるのかを実証する。臨床試験内容は、次の通り。
◆募集対象者:新型コロナウイルスに感染したことがPCR検査などで過去4日以内に確認され、熱がなく息苦しさもない20歳以上のヒト(京都医療センター研究責任医師とメールや電話でつなぐことが出来るヒトなら、どこに住んでいても可能)
◆実施方法:クルクルージュまたはプラセボを一日2回、7日間摂取する。プラセボとクルクルージュは外見上区別できない。
◆目標症例数:160例。(プラセボ群80例、高吸収クルクミン群80例)
◆実施期間:本年2月から2023年3月末まで
◆研究責任(代表)医師:国立病院機構京都医療センター展開医療研究部部長 医学博士 医師 長谷川 浩二氏
◆問い合わせ先:国立病院機構京都医療センター展開医療研究部の専門問合せフォーム(https://www.therabio.co.jp/questionnaire)を用いて行う。