塩野義製薬は29日、2027年3月期業績予想を上方修正し、年間配当予想も増配すると発表した。
年間配当予想は、前回発表(本年5月12日)の中間配当を従来予想から1株当たり2円増配、前期と比べて7円増配の40円、期末配当については従来予想から8円増配の46円とする。
これにより、中間配当と合わせた年間の配当金は、前期と比べて15円増の1株当たり86円となり、15期連続の増配となる見込み。2027年3月期通期連結業績予想は次の通り(カッコ内は増減額)。
売上収益7200億円(200億円増)、営業利益2300億円(100億円増)、税引前利益2205億円(5億円増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2125億円(25億円増)、基本的1株当たり当期利益249.67円(246.79円)。
業績予想の上方修正は、当中間連結会計期間においては、売上収益およびすべての利益項目で、業績予想を上回ったため。主な要因は、2025年度に実施した成長投資の成果が着実に業績として表れたことによるものだ。
海外事業では、筋萎縮性側索硬化症(ALS)治療薬ラジカヴァに関する事業承継が円滑に進み、希少疾患の事業基盤の構築が着実に進展した。また、従来からの強みである感染症領域では、欧米におけるセフィデロコルの販売が順調に推移した。
国内事業では、不眠症治療薬クービビック、鳥居薬品関連製品、ALS等治療薬ラジカットなどのQOL疾患領域の製品が伸長した。COVID-19の流行が想定を下回る中でも、これらの製品の伸長により、感染症の流行に左右されにくい安定的な収益基盤の構築が進んだ。
さらに、同社の収益基盤であるHIV事業についても、ヴィーブ社において、主力製品の経口2剤配合剤であるドウベイトに加え、今後の中長期的な収益源となる長時間作用型注射製剤であるカベヌバとアプティテュードの販売が、引き続き好調に推移し、ロイヤリティー収入および持分法投資利益が増加した。こうした成長投資の成果と既存事業の堅調な推移が好調な業績を牽引した。
これらの主要事業の好調な進捗を踏まえ、通期業績予想を上方修正する。海外事業では、ラジカヴァ事業の順調な立ち上がりに加え、イントラビオ社の買収により希少疾患を新たな成長領域と位置付け、米国に加え、欧州においても新たな事業基盤の構築を目指す。
買収取引完了後には、ニーマン・ピック病C型(NPC)に伴う神経学的症状および毛細血管拡張性運動失調症(A-T)の治療薬AQNEURSAの販売開始を予定しており、NPCおよびA-T患者への貢献を拡大する。
国内事業では、市場浸透が加速しているクービビックのさらなる成長を見込んでいる。HIV事業では、ヴィーブ社の好調な業績を踏まえ親会社であるGSK社が、ヴィーブ社の業績予想を引き上げたことに伴い、塩野義製薬が受領するロイヤリティー収入および持分法投資利益が増加する見通しである。
一方、費用面では、イントラバイオ社の買収に伴う無形資産の償却費や、米国事業の成長に向けた積極的な投資の継続により、販売費・一般管理費が増加する見込みであるが、適切なコスト管理を行っていく。
また、研究開発費については、開発パイプラインの厳格な優先順位付けにより選択と集中を進める計画である。これらを踏まえ、将来の成長に向けた投資を継続しつつ、通期の売上収益とすべての利益項目の業績予想を上方修正する。

