アステラス製薬は23日、ファイザーとと共同開発中の抗体-薬物複合体「パドセブ」(一般名:エンホルツマブ ベドチン、遺伝子組換え)について、欧州委員会(EC)からキイトルーダとの併用における成人膀胱がん術前術後補助療法の適応追加承認を取得したと発表した。
対象は、シスプラチン適応の有無にかかわらず、切除可能な筋層浸潤性膀胱がん(Muscle Invasive Bladder Cancer:MIBC)成人患者を対象とした術前術後の補助療法。
今回の承認は、P3相EV-304試験(KEYNOTE-B15試験)1の結果に基づいている。EV-303試験(KEYNOTE-905)の結果に基づき2026年に欧州で承認されたシスプラチン不適応患者への適応に加え、同併用療法の適応をシスプラチン適応患者に拡大するもの。
これにより、同併用療法は欧州において、シスプラチン適応の有無に関わらず、切除可能なMIBC成人患者を対象とする治療選択肢となる。
MIBCは進行性かつ侵襲性の高い膀胱がんであり、根治を目的とした治療が行われた場合でも、再発や病態進行のリスクが高いことが知られている。
シスプラチン適応の切除可能なMIBC患者に対しては、シスプラチンを含む術前補助化学療法とそれに続く根治的膀胱全摘除術が標準治療とされてきた。だが、患者の約半数が5年以内に手術後に再発を経験するとされている。
EV-304試験において、被験者は手術に加えてパドセブとキイトルーダの術前術後補助療法を受ける併用療法群、または手術に加えて現在の標準治療である術前補助化学療法(ゲムシタビン+シスプラチン)を受ける群(術前化学療法群)に無作為に割り付けられた。
併用療法群は、術前化学療法群と比較して、無イベント生存期間および全生存期間を統計学的に有意に改善した。同併用療法群は、再発、病勢進行または死亡のリスクを47%減少させ(ハザード比[Hazard Ratio:HR]=0.53、95%信頼区間[Confidence Interval:CI] 0.41-0.70、片側検定においてp<0.0001)、死亡リスクを35%減少させた(HR=0.65、95%CI:0.48-0.89、片側検定においてp=0.0029)。
さらに、手術時点における病理学的完全奏効(pathological Complete Response:pCR)率は55.8%であり、術前化学療法群の32.5%と比較して有意な改善が認められた(推定差23.4%、95%CI:16.7-29.8、片側検定においてp<0.0001)。
EV-304試験における併用療法群の安全性は、各薬剤でこれまでに報告されているプロファイルと同様であり、新たな安全性シグナルは認められなかった。
薬剤との因果関係を問わないグレード3以上の有害事象の発生率は、併用療法群が75.7%、術前化学療法群では67.2%であった。
アステラス製薬は、MIBCの同併用療法への迅速なアクセスを可能にするため、欧州各国の規制当局および医療技術評価機関と緊密に連携している。
◆EV-304試験 主要研究責任医師のMatthew D. Galsky 氏(米国ニューヨーク州Mount Sinai Tisch Cancer Center, Icahn School of Medicine at Mount Sinai)のコメント
シスプラチンに適応のある切除可能なMIBC患者さんに対しては、長年にわたりシスプラチンを用いた術前補助化学療法が確立された治療法として用いられてきた。今回の承認により、医師は、シスプラチンを含む化学療法を用いることなく、再発リスクを有意に低減し、全生存期間の改善が示された治療レジメンという新たな選択肢を得ることになる。
これにより、適切な患者さんに対する治療計画の立案において、より大きな柔軟性がもたらされる。
◆Moitreyee Chatterjee-Kishoreアステラス製薬Head of Oncology Developmentのコメント
EV-304試験の結果は、切除可能なMIBC患者さんに対し、有効な周術期治療をより早期の疾患ステージで提供することで、治療経過を変える可能性を示した。
今回の承認により、既に承認されているシスプラチン不適応の成人患者さんに対する適応とあわせて、EUにおける切除可能なMIBCの成人患者さんに対し、エンホルツマブ ベドチンとペムブロリズマブによる一貫した治療アプローチが可能となる。
また、尿路上皮がん治療のさらなる進歩に貢献するという当社のコミットメントを強化するものである。

