アストラゼネカは、「イミフィンジ」(一般名:デュルバルマブ、遺伝子組換え)について、日本初かつ唯一の高リスク筋層非浸潤性膀胱がんにおける免疫併用療法として承認を取得したと発表した。
対象は、カルメット・ゲラン菌(BCG)との併用における高リスク筋層非浸潤性膀胱がん。
厚労省による今回の承認はP3相POTOMAC試験の良好な結果に基づくもの。同結果は2025年欧州臨床腫瘍学会(ESMO)学術集会で発表され、同時にThe Lancet誌に掲載されている。
日本では2024年に1万9000人以上の方が高リスク筋層非浸潤性膀胱がん(NMIBC)の治療を受けた。高リスクNMIBCは腫瘍切除後に膀胱内へのBCG投与を行う標準治療により根治を目指す疾患である。
NMIBC患者の約半数は腫瘍のグレード、ステージ、特定の腫瘍の特徴などのがんの特性に基づき、病勢進行または再発について高リスクと分類される。高リスクの患者では、治療後5年以内に最大80%が再発を経験している。
POTOMAC試験の結果から、BCG未治療の高リスクNMIBC患者において、イミフィンジを1年間、BCG導入療法および維持療法に追加した群はBCG単独群と比較し、高リスク疾患の再発、進行または死亡のリスクを32%低下させることが示された〈無病生存期間(DFS)ハザード比 0.68、95%信頼区間 0.50–0.93、p=0.0154〉。
また、5年以上(60.7カ月)の追跡期間中央値において、イミフィンジ併用レジメンは治療開始から4カ月未満の時点から、早期かつ持続的なDFSベネフィットを示した。なお、推定DFS中央値は、いずれの群でも未到達であった。
2026年5月に開催された米国泌尿器科学会(AUA)年次総会では、追加の探索的解析結果が発表され、NMIBC患者におけるイミフィンジとBCGの併用療法の有用性がさらに裏付けられた。
治療開始後1年間において、イミフィンジとBCGの併用群における高リスク疾患イベントおよびBCG不応性再発の発現は、BCG単独群の約半数であった。また、副次評価項目である膀胱摘除術までの期間およびcystectomy-free survival(膀胱摘除術の実施、または膀胱摘除術を受けていない患者におけるあらゆる原因による死亡までの期間)の改善も示されており、BCG単独群と比較し、イミフィンジとBCGの併用群では膀胱摘除術を受けた患者が少なかったことが報告された。
イミフィンジとBCGの併用療法の安全性および忍容性はそれぞれの薬剤における既知の安全性プロファイルと一貫しており、DFSに関する5年超の追跡期間中央値において、新たな安全性シグナルは認められなかった。イミフィンジの追加により患者のBCG導入療法および維持療法の完了が妨げられることはなく、患者報告アウトカムに基づく生活の質にも意味のある影響は認められなかった。
◆西山博之筑波大学医学医療系 腎泌尿器外科学教授、同大学附属病院副病院長のコメント
デュルバルマブとBCGの併用レジメンはBCG未治療の高リスク筋層非浸潤性膀胱がん患者さんに対し、30年ぶりに承認された新たな治療法である。残念ながら、BCGを用いても疾患の再発を経験し、繰り返しの外科的処置が必要となるほか、病勢進行によって膀胱の摘出が必要となる場合もある。
POTOMAC試験では、デュルバルマブをBCG導入療法および維持療法に追加することで、BCG単独療法と比較し、疾患再発、進行または死亡のリスクを約3分の1低減できることが示された。これは、高リスク筋層非浸潤性膀胱がん患者さんにとって、大きな前進を示すものである。
◆ヴィクラム・チャンドアストラゼネカ執行役員研究開発本部長のコメント
今回のイミフィンジの承認により、日本の高リスク筋層非浸潤性膀胱がんの患者さんに対し、初めての免疫療法併用レジメンを提供できることになった。これは、イミフィンジが以前に筋層浸潤性疾患で示した良好な成果を、より早期の治療段階へ広げるものである。POTOMAC試験で示されたイミフィンジとBCGの併用による早期かつ持続的な無病生存期間のベネフィットは、早期再発リスクを有する患者さんにとって重要な前進である。

