JCRファーマは、6月4日~7日までイタリア・フィレンツェで開催されたムコ多糖症関連国際シンポジウムにおいて、ライソゾーム治療薬「JR-171」のムコ多糖症I型患者を対象としたP1/2試験および3年間の延長試験での安全性・有効性を示すデータを発表した。新たな臨床データ発表内容の詳細は次の通り。
Three-Year safety and pharmacodynamics of lepunafusp alfa (JR-171) in patients with mucopolysaccharidosis type I (MPS-I): Results from a phase I/II trial and extension study (Presentation Number: 63)
Lead Author: Paul Harmatz, M.D. (UCSF Benioff Children’s Hospital, Oakland, CA)
P1/2試験および3年間の延長試験(NCT04227600、NCT04453085)において、ムコ多糖症I型(MPS I)患者を対象に実施したlepunafusp alfa(JR-171)の安全性および薬力学に関する3年間のデータを報告した。
同試験では、MPS I患者を対象に、lepunafusp alfaを週1回静脈内投与し、「低用量群」(2.0 mg/kg、n=6)と「高用量群」(4.0 mg/kg、n=8)に無作為化し、3年間追跡した。
対象にはすべてのMPS I表現型が含まれ(ハーラー症候群7例、ハーラー・シャイエ症候群5例、シャイエ症候群2例)、低用量群のハーラー症候群患者1例は延長試験に継続参加しなかった。
安全性および忍容性については、高用量群・低用量群ともに良好であり、いずれの群においても服薬遵守率は90%を超えた。重篤な有害事象(SAE)は計6例で認められ(高用量
群5/8 例、低用量群1/5例)、重篤な治療関連有害事象(TEAE)は8件発生したが、いずれもlepunafusp alfaとの因果関係は認められなかった。
特に、重要な有害事象であるアナフィラキシーや輸注関連反応は稀であり、両群を通じて発生率は5%未満であった。
投与開始後12週までに、全患者において脳脊髄液中ヘパラン硫酸(CSF-HS)濃度の低下が確認された。高用量群では、多くの患者でこの低下が 3 年間維持されたが、1 例で部分的な再上昇が認められた。
低用量群では、ハーラー症候群患者2例においてHS濃度の再上昇が観察された。これらの再上昇は抗体の有無とは相関しなかった。
ラロニダーゼ既治療患者において、血清中 HS 濃度や肝臓・脾臓容積を含め、両用量群で安定または改善が認められた。一方、未治療患者では、これら指標の低下が確認された。
3年間の追跡結果からlepunafusp alfaの週1回投与は、幅広いMPS I患者において安全かつ忍容性が良好であり、薬剤に起因する重篤なTEAEは認められなかったと結論付けた。
また、CSF-HSの薬力学的応答から、lepunafusp alfaは血液脳関門を通過することが示唆され、高用量群(4 mg/kg)でより大きな低下傾向が認められた。
長期的な安全性および臨床的有効性については、今後より大規模な臨床試験での検証が求められる
◆薗田啓之JCRファーマ代表取締役社長のコメント
ライソゾーム病は、血液脳関門を越えて中枢神経系に治療薬を届けることが困難であるため、治療が極めて難しいことで知られる希少疾病群である。当社のJ-Brain Cargoプラットフォーム技術により、これらの生命を脅かす重篤な疾患に伴う進行性の神経症状を治療できる可能性がある。
本シンポジウムで発表されたデータは、ムコ多糖症I型患者さんにおけるJR-171(国際一般名: lepunafusp alfa)の安全性および有効性を示すものでだ。今後も当社のJ-Brain Cargo技術に関する追加データを発表していきたい。

