抗体薬物複合体技術基盤持つヴァランクス社に出資 富士フイルム

 富士フイルムは12日、次世代バイオ医薬品の一つである抗体薬物複合体(ADC)の技術基盤を有するオーストリアのバイオテクノロジー企業「ヴァランクス社」に出資したと発表した。
 同出資を通じて、当社が注力するADC領域の開発・製造受託(CDMO)事業の基盤強化を目指す。なお同出資は、ライフサイエンス領域のコーポレートベンチャーキャピタルを通じて実施するもの。
 近年、抗体と抗がん剤などの薬物を結合したADCは、高い治療効果と副作用の軽減が期待される次世代バイオ医薬品として、世界的に研究開発が加速している。一方で、抗体と薬物を結合する位置や結合数の均一性などは、治療効果や安全性を左右する重要な要素であり、その最適化のためには高度な技術が求められる。
 ヴァランクス社は、薬物が選択的に結合する反応ポイントとなるように独自開発した合成アミノ酸を、抗体上の狙った位置に高精度に導入できる「Golden Site 技術」を保有している。この技術は、ADCにおける薬物の結合位置や結合数を適切に設計し、ADCの均一性や安定性の向上につながる最先端の技術だ。また、同社はこの技術を活用した独自の医薬品パイプラインの開発も進めている。
 富士フイルムは、ADCを今後注力するモダリティの一つとして位置づけ、グループ各社の強みを生かして、抗体、リンカー/ペイロード、コンジュゲーション、製剤といった各工程を一貫して提供できる技術基盤の構築を進めている。
 富士フイルム富山化学は、国内で初めてとなるADCの一貫製造サービスを2027年から提供する予定で、将来的にADC製造受託のグローバル展開における中核拠点としての役割を担っていく。
 また、富士フイルム和光純薬では、高薬理活性物質を取り扱ってきたこれまでの実績をもとに、ADC製造において重要となるリンカー/ペイロードの製造体制構築を進めている。
 今後も富士フイルムは自社での技術開発に加え、最先端技術を有する企業への戦略的な投資を通じて、ADCをはじめとする次世代バイオ医薬品分野など革新的な医薬品の創出と安定供給を支援し、バイオベンチャーや製薬企業などの多様なニーズに応えることで医薬品産業の発展に貢献していく。

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