オプジーボと化学療法の併用療法 P3試験で非小細胞肺がん術前補助療法として好結果  小野薬品

 小野薬品は12日、オプジーボと化学療法を3サイクル投与する併用療法について、化学療法と比較したCheckMate-816試験において好結果を得たと発表した。切除可能なステージⅠbからⅢaの非小細胞肺がん(NSCLC)患者の術前補助療法として、主要評価項目である病理学的完全奏効(pCR)を有意に改善したもの。提携先のブリストル マイヤーズ スクイブ(BMS)が10日に公表した。
 同試験においてpCR率は、術前にオプジーボと化学療法を受けた併用療法群で24%、化学療法群で2.2%であった[オッズ比(OR)13.94、99% 信頼区間(CI):3.49 – 55.75;p<0.0001]。 pCRは、盲検下独立病理判定の評価による切除組織にがん細胞を認めない状態と定義された。オプジーボと化学療法の併用療法の忍容性は良好であり、PD-L1発現レベル、組織型または病期にかかわらず、併用療法は一貫したpCRの改善を示した。
 CheckMate-816試験は、切除可能なNSCLC患者の術前補助療法として、免疫療法薬を含む併用療法が病理学的奏効の有意な改善を示した初めての無作為化P3相試験である。これらのデータは、2021年米国がん学会(AACR)年次総会の臨床試験プレナリーセッションで、本年4月10日午後12時30分~12時45分(東部夏時間)、口頭発表により初めて公表される(抄録番号:#5218)。
 オプジーボと化学療法の併用療法は、Major Pathological Response(MPR)を含む主な副次評価項目においても改善を示した。オプジーボと化学療法の併用療法群では、化学療法群と比較して、4倍の患者がMPRを達成した(併用療法群36.9% vs 化学療法群8.9%:OR 5.70、95% CI:3.16 – 10.26)。MPRは、術前補助療法後に残存した腫瘍細胞が10%以下であることを意味する。
 オプジーボと化学療法を3サイクル投与した併用療法の安全性プロファイルは忍容性があり、新たな安全性シグナルは認められなかった。グレード3~4の治療に関連する有害事象が、オプジーボと化学療法の併用療法群の34%、化学療法群の37%で報告された。
 有害事象による手術のキャンセルはまれであり、影響を受けた患者数は、各群でそれぞれ2例のみであった。
 さらに、同試験では、オプジーボと化学療法の併用療法による術前補助療法を受けた群で、より多くの患者が手術を受けており(併用療法群83%vs化学療法群75%)、オプジーボの追加が手術の実施可能性に影響しないことが示された。
 また、オプジーボと化学療法の併用療法群では、化学療法群と比較して、より多くの患者で腫瘍が完全に切除(R0)された(併用療法群83% vs 化学療法群78%)。手術に関連する有害事象の発現率は、両群で同等であった。
 より広範囲に関して、BMSとパートナーは、早期のNSCLCを対象に、術前補助、術後補助および周術期段階における免疫療法薬の使用、ならびに化学放射線療法との併用療法について研究を進めている。
 術前補助段階における免疫療法薬の使用には、二重の科学的根拠がある。術前補助療法は、体に広がった未検知のがん細胞を治療する最も早期の機会であるとともに、腫瘍があるうちに免疫療法薬の治療を行うことで、より強い免疫応答を引き起こし、治療の効果を向上できる可能性があるためだ。
 ◆Nicolas Girard(M.D.)氏(キュリー研究所、腫瘍内科教授兼部門長)のコメント
 がんの早期ステージにおける治療の最終的な目標は再発を防ぐことで、我々はこれらの患者さんの完治を目指して取り組んでいる。残念なことに、切除可能な非小細胞肺がん患者の半数以上が術後に再発を経験し、大勢の方が亡くなっている。
 CheckMate-816試験の病理学的完全奏効のデータは、切除可能な非小細胞肺がんの術前補助療法として、ニボルマブと化学療法を併用する潜在的ベネフィットの初期の兆候を示している。
 これらの有望な結果が、ひいては患者の無イベント生存期間や全生存期間の延長に結び付くことを期待している。
 ◆Abderrahim Oukessou(M.D.)氏(BMS胸部がん領域開発担当バイスプレジデント)のコメント
 オプジーボを含む治療レジメンは、進行胸部がんにおいて持続的な生存ベネフィットを示してきた。さらに、今、CheckMate-816試験のデータによって、オプジーボと化学療法の併用療法が、非小細胞肺がんの早期段階において長期的な臨床予後を改善する可能性が示されている。
 CheckMate -816試験の現在の結果は、転移性疾患に進行する前のがんに対する免疫療法薬の使用が、医師にとって重要なツールになり得るというこれまでのエビデンスをさらに増強するものであり、現在までに、切除可能ながんを対象にオプジーボを評価した4つの第Ⅲ相試験で肯定的な結果が得られている。
 また、今後の結果により、オプジーボと化学療法の併用療法が、本試験のもうひとつの主要評価項目であり、当社が盲検性を維持している無イベント生存期間を改善する結果が得られることを期待している。

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