ベドリズマブ 潰瘍性大腸炎の維持療法でFDAが審査完了報告通知     武田薬品

 武田薬品は23日、成人の中等症から重症の潰瘍性大腸炎における維持療法としてのベドリズマブの皮下注射製剤の生物学的製剤承認申請に関し、FDAから審査完了報告通知を受領したと発表した。
 今後、同社は、報告通知の詳細を精査し、FDAからの質問事項に対応するために必要な情報を集め、承認を目指してFDAと緊密に連携していく。
 同報告通知では、FDAより、生物学的製剤承認申請に用いられた検証試験から得られた臨床データおよびその結論とは関連のない質問が提起されている。
 武田薬品は、ベドリズマブ皮下注射製剤は中等症から重症の潰瘍性大腸炎の患者に対し大きなベネフィットをもたらし得ると確信しており、引き続き皮下注射製剤で患者のニーズを満たすことを目指し承認に向けて尽力する。
 ベドリズマブ静注製剤は、中等症から重症の潰瘍性大腸炎およびクローン病治療剤として2014年にFDAによる承認を取得した。
 以降も、臨床試験およびその他のエビデンスをもって、十分に確立された安全性および有効性のプロファイルを積み上げ、米国や欧州連合など60カ国以上の国で製造販売承認を取得し、米国では、15万人以上の患者が同剤を使用している。国内販売名は、エンタイビオ。
 潰瘍性大腸炎およびクローン病は、最も代表的な炎症性腸疾患で、いずれも再燃と寛解を繰り返す慢性の炎症が消化管に生じる、進行性となることの多い疾患である。
 潰瘍性大腸炎は大腸のみに発症するのに対して、クローン病は口から肛門に至るまで、消化管のあらゆる部位に発症する。また、クローン病は腸壁全層にも発症する可能性があるが、潰瘍性大腸炎は大腸の最も内側の粘膜のみに発症する。 潰瘍性大腸炎でよくみられる症状は、出血あるいは排膿を含む腹部不快感および軟便。一方、クローン病では、腹痛、下痢および体重減少などがよく発症する。潰瘍性大腸炎やクローン病の正確な原因については明らかになっていないものの、最近の研究では、遺伝的要因や環境要因に加え、遺伝的素因を有する人に生じる腸内細菌抗原に対する異常な免疫応答などが原因と考えられている。
 ベドリズマブは、消化管に選択的に作用する生物学的製剤であり、現在、静注製剤として承認されている。同剤は、α4β7インテグリンと特異的に拮抗し、α4β7インテグリンの腸粘膜アドレシン細胞接着分子-1(MAdCAM-1)への結合を阻害するが、血管細胞接着分子1(VCAM-1)への結合は阻害しないようデザインされた、ヒト化モノクローナル抗体である。MAdCAM-1は消化管の血管およびリンパ節に選択的に発現している。
 一方、α4β7インテグリンは循環血液中の白血球サブセットに発現する。これらの細胞は、潰瘍性大腸炎とクローン病における炎症プロセスを調節するうえで重要な役割を果たしている。α4β7インテグリンを阻害することで、ベドリズマブはある種の白血球細胞が消化管組織へ浸潤することを制限できる可能性がある。
ベドリズマブ静注製剤は、標準療法又は抗TNFα抗体による治療のいずれかに対し効果不十分、効果減弱がみられた、もしくは不耐性である中等症から重症の活動期潰瘍性大腸炎およびクローン病成人患者に対する治療薬として承認されている。

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