J&Jは22日、エンドセリン受容体拮抗薬(ERA)「オプスミット」について、国内で小児の肺動脈性肺高血圧症(PAH)治療薬として承認を取得したと発表した。
今回取得したのは、小児用分散錠1.0mgおよび2.5mgの新規剤形と用法および用量(生後3カ月以上)、同10mgの用法および用量追加(50kg以上)。
国内においてオプスミットは、2024年11月に小児を対象に「肺動脈性肺高血圧症」を効能・効果とした「希少疾病用医薬品」に指定され、2025年3月に小児に対する用法及び用量について「特定用途医薬品」に指定された。オプスミットの医療従事者への情報提供活動は、日本新薬と共同で実施する。
国内において、PAHは指定難病であり、4900人以上の患者に影響を及ぼしている。PAHは、肺の細かい動脈(肺小動脈)の内側の空間(内腔)が狭くなり、心臓から肺に送られる血液が流れにくくなることにより、肺動脈の血圧が上昇する。肺の細かい動脈(肺小動脈)の内側の空間(内腔)が狭くなり、心臓から肺に送られる血液が流れにくくなることで、肺動脈の血圧が高くなる疾患である。
小児PAH患者は、個別化治療を必要とする複数の併存疾患を有することが多く、特発性疾患や先天性心疾患、発達性肺疾患を伴う場合がある。
今回の承認はPAH1010試験、海外TOMORROW試験(NCT02932410)と国内PAH3001試験結果に基づくもの。
オプスミットは国内では2015年に初めて承認を取得し、成人PAH治療において最も広く使用されているERAであり、海外および日本のガイドラインにおいて第1選択薬として推奨されている。
日本では小児PAH患者に対する治療選択肢はあるものの、未だアンメットニーズが存在しており、オプスミットは、新たな選択肢を提供するだけでなく、これらの課題の解決にも貢献することが期待されている。
◆クリス・リーガーJ&J代表取締役社長のコメント
本承認により、日本における小児のPAH患者さんに対する新たな治療選択肢が可能になる。患者さんが国内でこのERAにアクセスできるようになれば、オプスミットの1日1回の経口投与と小児分散錠は、患者さんおよびその家族の負担軽減に役立つ。
オプスミットの確かな実績を背景に、私たちはできるだけ早く全国の必要とする小児患者さんにこの新しい治療選択肢をお届けできることを期待している。
◆髙月晋一東邦大学医療センター大森病院小児科教授のコメント
オオプスミットは、高い安全性と忍容性を有しており、成人PAH患者に最も処方されている治療薬である。欧州ではすでに小児PAH治療に対し承認が得られており、本邦でも生後1年未満を含む小児 PAH患者に対するオプスミット治療への期待は大きい。今後、予後が不良であった小児PAH患者への治療戦略が向上すると考えられる。

