イミフィンジ 日本初の膀胱がん術前・術後補助療法免疫療法薬で承認取得 アストラゼネカ

 アストラゼネカは19日、イミフィンジ(一般名:デュルバルマブ、遺伝子組換え)について、膀胱がんにおける術前・術後補助療法を効能・効果として、同日付で厚労省から承認を取得したと発表した。
 今回の承認は、P3相 NIAGARA 試験に基づくもの。同試験において、計画された中間解析時点で、根治的膀胱全摘除術前のゲムシタビンおよびシスプラチンとの併用による術前補助療法、およびその後のイミフィンジ単独による術後補助療法から成るイミフィンジ周術期レジメンで治療された根治切除可能な筋層浸潤性膀胱がん(MIBC)の成人患者は、根治的膀胱全摘除術をともなう術前補助化学療法単独投与を受けた患者に対して、病勢進行、再発、手術未施行、または死亡のリスクについて 32%統計学的に有意な低下を示した(無イベント生存期間[EFS]ハザード比[HR]0.68、95%信頼区間[CI]0.558-0.817、p<0.0001)。
 EFS 中央値の推定値は、対照群の46.1カ月に対し、イミフィンジ併用群では未到達であった。また、2年経過時点で対照群では 59.8%が無イベントだったのに対し、イミフィンジ周術期レジメンで治療された患者では67.8%が無イベントであった。
 重要な副次評価項目である全生存期間(OS)から得られた結果では、イミフィンジ周術期レジメンは対照群と比較して死亡のリスクを 25%低下させた(OS HR 0.75、95% CI 0.594-0.934、p=0.0106)。生存期間中央値は、両群とも未到達であったが、2 年経過時点で対照群では75.2%が生存していたのに対し、イミフィンジ周術期レジメンを受けた患者では 82.2%が生存していた。
 日本で 2020 年に膀胱がんと診断された患者は 2万3185 人で 1万9168 人が膀胱がんにより死亡している。新たに診断された膀胱がんの約25~30%を占めるMIBCでは、根治を目的に治療が行われているにもかかわらず、現在の標準治療の術前補助化学療法を受けた患者のうち約 50%が術後に再発を経験している。
 
◆NIAGARA試験医学専門家の西山博之氏(筑波大学医学医療系 腎泌尿器外科学教授)のコメント
 デュルバルマブをベースとした周術期レジメンは、膀胱がん患者さんにとって重要な新しい治療選択肢となる。NIAGARA試験結果からは、再発等のリスクを3分の1近く減少させるとともに、生存期間の有意な延長が示されている。
 現在、術前補助化学療法や根治を目的とした膀胱全摘除術を受けても、半数近くが再発を経験する筋層浸潤性膀胱がん患者さんにとって、本承認は大きな進歩である。

◆大津智子アストラゼネカ取締役研究開発本部長のコメント
 NIAGARA試験では、イミフィンジを含むレジメンによる治療を受けた患者さんの 80%以上が2年後も生存していることが明らかとなった。イミフィンジは膀胱がんにおいて日本で初めての周術期免疫療法として、より良い治療法を求める患者さんの強いニーズに応え、今後の標準治療となる可能性を秘めている。

タイトルとURLをコピーしました