マヴィレット 米国FDAが急性C型肝炎ウイルス感染治療法として適応追加承認 アッヴィ

 アッヴィは15日、パンジェノ型・直接作用型抗ウイルス剤(DAA)「マヴィレット」について、米国FDAより急性のC型肝炎ウイルス感染に対する治療法として適応追加承認を取得したと発表した。今回の承認は、慢性度にかかわらずHCV感染患者に対する検査と治療を推進するための世界的な臨床ガイドラインの支援に加え、疾患の撲滅という公衆衛生の目標にも寄与するもの。医療従事者は、診断の時点で即座にHCV感染患者を治療することが可能になる。
 現在、マヴィレットは、肝硬変がないまたは代償性肝硬変を有する成人および3歳以上の小児について、急性または慢性のHCV感染治療への使用が認められている。
 今回の承認により、マヴィレットは、急性のHCV感染患者に対して、8週間の投与で96%の治癒率を達成する、初めてかつ唯一のDAA療法となった。
 HCVは、肝臓に影響を及ぼす、感染力の強い血液媒介性の疾患である。感染したばかりの患者やC型急性肝炎の患者は症状が現れない場合があり、未治療の状況では、肝硬変や肝がんなど肝臓関連の合併症に進行する可能性がある。
 米国では、2035年までの10年間で、未治療のHCVによって引き起こされる慢性肝疾患およびその他関連疾患に対する総医療費が、約1200億ドルに達すると予測されている。
 現在、世界的な臨床ガイドラインは、急性または慢性のHCV感染を有するほぼすべての患者に対する普遍的な治療を求めている。これらのガイドラインを広く導入することにより、世界的な疾患の拡大を大幅に減少させる可能性がある。
 さらに、公衆衛生の分野では、2030年までにHCVを撲滅することを目標に掲げている。だが、米国を含む高所得国の約80%では、この目標の達成が2050年以降となる見込みだ。
 マヴィレットは、急性HCV感染の治療薬として、FDAからBTD(画期的治療薬指定:)を付与された。BTDプログラムは、重篤な疾患の治療を目的とした医薬品の開発と審査を迅速化するためのもの。予備的臨床試験の結果から、マヴィレットが既存の治療法と比較して、1つ以上の臨床的に重要なエンドポイントにおいて、著しい改善を示す可能性があることが示されている。
 マヴィレットの適応拡大は、急性HCV感染を有する成人患者に、マヴィレットを8週間投与したときの安全性および有効性を評価したP3相、多施設共同、単一群前向き試験におけるデータにより裏付けられている。
 同試験の結果、マヴィレットは急性HCV感染を有する患者に対する極めて有効な治療法であることが示された。報告された有害事象の大半は、軽度または中等度の重症度であった。最も一般的な有害事象は、疲労、倦怠感、頭痛、下痢であった。

◆Coalition for Global Hepatitis EliminationのディレクターであるJohn Ward氏(M.D.)のコメント
 HCVのような治癒可能な疾患がもたらす身体的、精神的、経済的負担は、米国および世界中で非常に大きなものだ。安全で効果的な治療法による早期治療ができれば、医療従事者はほぼすべてのHCV患者さんを、慢性疾患、そして肝硬変や肝がんへと進行する前に治癒させることができるだろう。
 今、公衆衛生の分野には、ほぼすべての患者さんを治癒し、この致命的なウイルスの影響を排除する絶好の機会が訪れている。HCVで命を落とす人が一人もいてはならない。

◆Roopal Thakkarアッヴィexecutive vice president, research and development兼chief scientific officer(M.D.)のコメント
 これまで、マヴィレットで100万人以上のHCV患者さんが治療を受けてきたが、急性感染の患者さんに対する大きなニーズが依然として存在することを認識している。
 マヴィレットの適応拡大、さらに検査と治療モデルの実施は、公衆衛生の分野においてより多くの患者さんを治療し、2030年までにHCVを撲滅するという世界的な目標の達成に近づくための大きな一歩となる。

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