ブロード研究所との新規循環器治療薬開発に向けた共同研究を延長 バイエル

 バオエルは20日、ブロード研究所と10年間、循環器疾患を対象にヒトゲノム研究のさらなる知見促進を目的に推進してきた共同研究について、研究期間をさらに5年間延長したと発表した。
 今回の契約期間延長では、心臓病に対する精密医療における治療標的を共同で同定するとともに、確立済みのヒト心筋細胞プラットフォームを活用して科学的知見を迅速に検証しながら、新たな治療アプローチを創出することに重点を置いている。
 現在、特に拡張型心筋症など、循環器疾患の特定病型の患者に対し、選択肢となり得る治療の開発に取り組んでいる。拡張型心筋症は、心腔の拡大を特徴とする心臓病の一種であり、血液を効果的に全身へ送り出す能力の低下を招く。この状態を治療しないまま放置すると、心不全やその他の合併症を引き起こす可能性がある。
 2013年より長年にわたる本共同研究は、ゲノミクスや生物学におけるブロード研究所の幅広い専門知識と、低分子化合物や生物製剤の創薬におけるバイエルの豊富な経験を融合させることで、新規循環器治療
薬の創薬研究を推進している。この戦略的研究提携により共同で、すでに多くの論文公表・学会発表が行われている。
 また、この提携が道を開いた成果として、バイエルは2025年5月、心房細動患者において心臓の細胞の電気的活動を制御する可能性を有する高選択的Gタンパク質共役型内向き整流カリウムチャネル4(GIRK4)阻害剤のP1試験を開始した。
 アカデミアとの共同研究は、バイエルの研究開発戦略にとって不可欠となる。同社では、特に循環器疾患などアンメットメディカルニーズの高い分野で、革新的な治療ソリューションを患者に届けることを目指す。循環器研究において、バイエルが戦略的に重視しているのは精密医薬品の開発であり、これにより最も有望な治療標的や事業化の見込めるプログラムを迅速に特定していく。
 バイエルは、米国マサチューセッツ州ケンブリッジのケンダルスクエアにあるブロード研究所に隣接する場所にバイエル・リサーチ&イノベーションセンター(BRIC)を設置している。BRIC にはプレシジョン・オンコロジー・リサーチ・センターがあるほか、循環器・腎・免疫領域の精密医療における創薬研究や早期開発に注力する経験豊富な科学者チームを擁している。
 また BRICは、画期的なイノベーションと科学的ブレークスルーに焦点を当てたライフサイエンスインキュベーターの先駆的なグローバルネットワークの一躍を担うバイエルCo.Labケンブリッジの本拠地でもある。

◆アンドレア・ヘーゲバルト ドイツ・バイエル社医療用医薬品部門循環器・腎・免疫領域研究・早期開発責任者のコメント
 当社は、世界中の何百万人もの人々に影響を及ぼしている循環器疾患を治療するための新規アプローチを常に検討している。われわれは、さまざまな循環器疾患や腎疾患における新規の治療標的や治療法を探求し、必要としている患者さんに新たな治療選択肢を提供するという使命を共有している。
 最初の共同治療プロジェクトは先月、臨床試験段階に入った。ブロード研究所の卓越した科学者たちとのさらなる協働を通じて、循環器疾患の根本原因に対する疾患修飾治療薬を発見、開発できることを大いに期待している。

◆トッド・ゴラブブロード研究所所長・創設主要メンバーのコメント
 ブロード研究所とバイエルが循環器研究におけるこの有意義な協働を継続できることをうれしく思う。ブロード研究所とバイエルが連携することにより、ともに単独では成し得ない進歩を遂げることができる。

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