パニツムマブと化学療法併用療法 RAS遺伝子野生型大腸がんP3試験でOS達成 武田薬品

 武田薬品は18日、パニツムマブ(一般名、製品名:ベクティビックス)と化学療法の併用療法について、国内P3試験「PARADIGM試験」において、原発巣占居部位が左側及び全体のいずれの集団でも主要評価項目である全生存期間(OS)の達成を確認したと発表した。
 PARADIGM試験は、世界で初めてRAS遺伝子野生型で原発巣占居部位が左側である大腸がん患者における適切な治療を前向きに検証したもの。
 RAS遺伝子野生型で化学療法未治療の切除不能進行再発大腸がん患者を対象に、mFOLFOX6 +ベバシズマブ併用療法とmFOLFOX6 +パニツムマブ併用療法の有効性および安全性を比較するP3相無作為化比較試験である。
 パニツムマブは、武田薬品がアムジェン社(本社:米国)から導入した切除不能な進行再発大腸がん治療剤である抗EGFRモノクローナル抗体。
 切除不能進行再発大腸がんの患者では、原発巣占居部位の違いによって生存期間や薬効に差があることが報告され、国内外主要ガイドラインにおいて、遺伝子変異に加え原発巣占居部位に基づく治療選択プロセスが明記されている。
 同試験では、RAS遺伝子野生型で原発巣占居部位が左側(下行結腸、S状結腸、直腸)である大腸がん患者における適切な治療を世界で初めて前向きに検証した。
 今回の結果速報では、主要評価項目である全生存期間(OS)において、原発巣占居部位が左側及び全体、いずれの集団でもmFOLFOX6 +パニツムマブ併用療法がmFOLFOX6+ベバシズマブ併用療法に対し、統計学的に有意な延長が認められた。
 なお、本試験におけるパニツムマブ投与時の安全性プロファイルは、現在の添付文書の内容と同様であった。
 なお、同試験の詳細な結果については、今後、専門誌・学会等にて報告する予定。

◆同試験のステアリングコミッティ委員長の室圭氏(愛知県がんセンター副院長・薬物療法部部長)及び吉野孝之国立がん研究センター東病院消化管内科長のコメント
 今回のPARADIGM試験の結果を大変嬉しく思う。切除不能な進行再発大腸がん患者さんの治療選択が増えて来る中で、PARADIGM試験の結果が示す明確なエビデンスによって、RAS遺伝子野生型の患者さんに最適な一次治療を提供することができるようになることが期待される。
 この結果が国内だけでなく世界の大腸がん治療、ひいては大腸がん患者さんのより良い治療結果に与える影響は非常に大きいものと考えている。

◆添田純平武田薬品日本オンコロジー事業部メディカルアフェアーズ部長のコメント
 本研究の成果にとどまらず、この付随研究から得られたデータによって、治療反応予測因子、耐性メカニズムの解析が今後予定されており、大腸がんのさらなる治療成績の向上と薬剤開発の可能性につなげることで、引き続き患者さんのより良い治療へ貢献していく。

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