国内ゲノム医療大規模基盤構築で武田とToMMoが共同研究

 武田薬品は15日、東北大学東北メディカル・メガバンク機構(ToMMo)とわが国のゲノム医療の大規模な基盤構築を目的とした共同研究契約を締結したと発表した。共同研究の具体的な内容は、①一般住民の全ゲノムリファレンスパネルの充実と日本人集団に特徴的な遺伝子型の発見②全ゲノム情報と脳MRI画像を含む健康情報・医療情報の統合的解析による新薬・治療法の研究開発。
 同契約に基づき、武田薬品は、本共同研究で取得される約1万人の全ゲノム情報への1年間の優先的アクセス権を獲得し、それに紐づいた各種健康情報・医療情報とともに統合的な解析を行う。
 さらに、同共同研究およびその後の取組を通じて、我が国のゲノム情報の医療分野での活用を推進するため、ToMMoと武田薬品は約10万人規模の全ゲノム解析とこの解析結果の利活用を目的としたコンソーシアムの実現を目指す。
ToMMoの機構長である山本雅之氏は、「ToMMo は一般住民(健常人)全ゲノムリファレンスパネルの一層の充実とその利活用を推進するために、コホート調査に参加された15万人の一般住民の全ゲノム解析の早期実現を目指している」と明言。
 さらに、「今回の共同研究が契機となり、多くの賛同企業の参画のもと10万人規模の全ゲノム解析とその利活用を目指すコンソーシアムが形成され、さらには、それを基盤とした新薬や治療法の開発が発展することを期待している」とコメントしている。
 一方、武田薬品Research HeadのSteve Hitchcock氏 は、「長期的な健康状態の推移を遺伝的背景の多様性に基づいて理解することは、患者特性を考慮した集団ごとに、より精度の高い予防法や治療法を開発する上で極めて重要である」と指摘。その上で、「ToMMo はまさにこれらの研究開発を進める上での基盤を持つ世界で有数のバイオバンクを構築している。今回の全ゲノム解析が契機となり、さらにゲノム医療基盤が整備されていくことを期待したい」と述べた。
 研究の詳細は、次の通り。
 ①一般住民の全ゲノムリファレンスパネルの充実と日本人集団に特徴的な遺伝子型を発見する。共同研究では、ToMMoのコホート調査に参加された一般住民約1万人分の全ゲノム解析を行う。解析したゲノム情報は、個人情報の保護に厳しく留意した上で今後のゲノム医療、個別化医療・予防の基盤となる健常人全ゲノムリファレンスパネルの充実に使われる。さらに、解析したゲノム情報は日本人集団に特徴的な遺伝子型の探索により、健康に関係する国際的に既知の因子の日本人における影響の大きさの調査や、日本人の薬剤に対する副作用予測などにも活用される。
 ②全ゲノム情報と脳MRI 画像を含む健康情報・医療情報の統合的解析による新薬・治療法の研究開発本共同研究では、全ゲノム情報とそれに紐づいた脳 MRI 検査情報を含む各種医療情報を統合的に解析する。疾患関連因子、特に、認知機能低下など精神・神経疾患に対するリスク因子、保護因子などの探索を行い、新薬・治療法の研究開発の加速に繋げる。

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