3年後の創業350年、さらにその先の未来に向けて挑戦 辻村社長

田辺三菱製薬は5月30日、「田辺三菱製薬史料館10周年記念式典」を開催した。1678年の創業時から続く同社の史料を展示した同史料館は、2015年5月に田辺三菱製薬本社ビル2階に開館し、これまでに延べ4万8340人の来館者を記録している。
式典であいさつに立った辻村明弘社長は「一般の方々はもちろん、医師、薬剤師、学生、生涯学習の場を求める方々、同業他社の皆さまに至るまで幅広くご利用いただき、医薬、文化、教育の発信拠点、従業員教育、取引先、同業他社との意見交換の場となっている」と史料館のこれまでの役割を説明。
さらに、「道修町には会社の枠を超えて力を合わせ、業界を支える文化的土壌がある。当社は3年後の創業350年、さらにその先の未来に向けて挑戦を続けていくが、多くの方々とともに歩んできた歴史や価値を、当史料館を起点としてこれからも広く発信していく」と感謝と決意を述べた。
また、同史料館の泉川達也館長は「開館時に掲げた当社の歴史と企業活動の発信、医薬品産業への理解促進、道修町の歴史と文化の発信という3つの目標に加えて、地域との連携を4つ目の目標に掲げた。道修町ミュージアムストリートの関係者と地域の皆さまとより強く協力して活動していく」と展望を語った。

現在、同史料館を含めた大阪・道修町の企業5社の展示施設と少彦名神社内の「くすりの道修町資料館」が協力し、「道修町ミュージアムストリート」として共同でPR活動を推進している。
なお、同史料館では開館10周年を記念して6月2日から9月30日まで特別展「道修町くすりのはじまり展」を開催中。特別展では、初代田邊五兵衛が売り出した「たなべや薬」の由来を紹介するとともに、17種の生薬で再現した同薬の匂いを嗅ぐことができる「田辺三菱製薬くすりのはじまり」コーナー、生薬の時代から現代の創薬につながる薬の歴史を紹介する「今へつながるくすりのはじまり」コーナーなどが設けられる。
止血効果に優れ、出産前後に使用されていたと伝えられる「たなべや薬」の由来について、関ヶ原の戦場から敵中突破で脱出したものの窮地に陥った島津義弘を、朱印貿易で関係が深かった大坂・堺の商人、田邊屋道與(五兵衛の曽祖父)が助けて帰国させたこと、その功に報いるために島津家が秘伝の陣中薬の処方を伝授したという驚きのエピソードが紹介されている。