薬機法改正は国会でしっかりと議論を 大阪府薬乾会長

乾氏

 大阪府薬剤師会は9日、定例記者会見を開催し、乾英夫会長が先月から国会で審議されている薬機法改正について言及。「コンビニで専門家がいなくても販売できるOTCの議論もされている。そうなれば薬局が地域住民の安心・安全のために機能を発揮できるどうか心配している」と指摘し、「しっかりと国会の審議の進展を見て、現場の薬剤師が地域住民のために職能を発揮できるよう支援していきたい」と訴えかけた。

道明氏

 道明雅代副会長は、後発医薬品を中心とする医療現場の医薬品不足について、「もう4年間以上続いているが、未だに回復の兆しがない」と現況を報告。インフルエンザ薬などメーカーから十分市場に供給されている医薬品については、「医療機関等の買い溜めを防ぐため、がんなどの高額医薬品などを除いては、納入3ヶ月後は返品不可能となるルールの適用もやむを得ないと思う」と私見を述べた。
 その他、2025年度大阪府予算要望において、新規事業の「災害薬事コーディネーター育成研修会」事業費(委託事業)として503万円計上されたことや、2024年度の「ナッジを活用した適正服薬推進事業」について報告。2025年度のナッジを活用した適正服薬推進事業は、今後、モデル地区となる市町村を選択して7月より4ヶ月間実施される。また、4年前にタートした「薬剤師のための予防接種に係る研修会」では、これまで240名の修了証が交付されたことも公表された。
 乾氏は、「国会で零売やOTCがこれほど議論されるとは全く想定していなかった」と述べ、「規制改革推進会議から端を発した薬局の対人業務の充実化、対物業務の効率化、ICT、薬局薬剤師DX推進のためにコンビニで専門家が居なくても販売できる医薬品の供給が議論されている」とこれまでの経緯を紹介。その上で、「対象となっている医薬品はOTCとはいえ、薬局・薬剤師が地域住民のために職能を発揮できるように支援したい」と訴求した。
 8日に開催された衆議院厚生労働委員会に参考人として出席した狹間研至ファルメディコ代表取締役社長(思温病院理事長)の「薬剤の一包化以外にも高額医薬品の取り揃えを外部委託業務に加える」提案について道明雅代副会長は、「その人が産まれたときから亡くなるまでの医薬品を管理するのが地域の薬局の使命である」と断言。「高額医薬品だからといって委託業務にするのは薬剤師としての使命を放棄しており、賛同できない」との見解を示した。

羽尻氏

 羽尻昌功常務理事も「薬局の高額医薬品の問題は、小包装を考えて貰うことで解決できる。経営だけを考えて外部委託するのは乱暴な発言である」と語った。
 羽尻氏は、後発医薬品を中心とする医療現場の医薬品不足にも言及し、「全く改善されていない」と断言。さらに、「抗生剤のアモキシシリンや鉄剤も薬局での入手が難しい。KCL製剤のように代替えができない医薬品の不足は非常に辛い」と訴えかけた。
 道明氏も「全般的に後発品は、少量・多品種の製造が続いているので、医療現場の医薬品不足が発生している」とその要因を指摘した。加えて、「インフルエンザ薬はメーカーが十分に製造しているのに現場では不足している」と述べ、「供給十分な医薬品については、買い溜めを防止して適正に流通するように、がんなどの高額医薬品等を除いて納入3ヶ月後は返品不可能となるルールが適用されてもやむを得ないのではないか」との私見を示した。

宮田氏

 宮田憲一副会長は、2025年度大阪府予算要望で503万円が計上された災害薬事コーディネーター育成研修会について、「災害時に、地域行政と支部薬剤師会の連携をとるコーディネーターの育成を目的としている」と説明した。今年度の同事業は、大阪府下56地域の支部薬剤師会から2名ずつ参加して実施される。
 一方、2024年度の「ナッジを活用した適正服薬推進事業」は、寝屋川市と松原市をモデル地区として昨年10月から2ヶ月間実施された。
 同事業は、市町村国保が重複・多剤服薬者に対する効果的な保健指導の支援を行い、被保険者の医薬本適正使用についての意識向上と医療費の適正化を図ることを目的としたもの。
 具体的には、①重複・多剤服用者に対し、保健指導と連携して行う服薬管理指導、②残薬管理指導を通じた医薬品適正使用啓発、③リーフレットによる医薬品適正使用啓発ーが行われた。
 ①では、モデル市が対象者の抽出・リスト作成を行い、保健師等が対象者に保健指導(電話等)し、かかりつけ薬局での服薬管理指導を推奨する。実際に薬局へ相談に行った対象者は松原市100名中5名、寝屋川市32名中4名であった。
 この数字を羽尻氏は、「近年、詐欺事件も多いことから、電話での推奨は難しかった」と分析した。
 ②については、2ヶ月という短い期間ながらも両市合計で250名に上り、①よりも多く取り組めた。2025年度の同事業は、7月から4ヶ月間実施する。モデル地区は未定。

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