子宮体がん患者調査 診断前に経験した自覚症状トップは不正出血 アストラゼネカ

子宮体がんによる不正出血の認識不足で1カ月以上受診先延ばし患者は半数以上に

 アストラゼネカは3日、子宮体がんと診断されたことのある190 名を対象とした子宮体がん患者調査結果を発表した。同調査は、190名の対象者が確定診断に至るまでの過程や治療状況、日常生活への影響と子宮体がんに関する知識の実態についてインターネットで調査したもの。
 調査結果からは、患者の多くが不正出血を自覚症状として経験しているにもかかわらず、子宮体がんに対する知識不足があり医療機関の受診遅れにつながっている可能性が示唆された。
 子宮体がんは日本においては、女性のがんで6番目に罹患数が多いがんだ。2022年には1万8300人以上が診断されており、子宮体がんの罹患数は近年増加傾向にあると言われている。早期に発見されることが多いがんであり、ステージが早期の5年生存率は約80~90%となっているが、進行期においては5年生存率が20未満に低下するため早期受診・治療が重要である。同調査の概要、調査結果のサマリーと詳細は次の通り。

【調査概要】
◆調査期間:2024 年 9 月 3 日~9 月 15 日

◆調査対象:子宮体がんと診断されたことのある人190 名

◆調査方法:インターネット調査(調査委託先:メディリード)

◆調査監修:リサ・サーナ

【調査結果サマリー】
1、 子宮体がんの診断前、医療機関を受診したきっかけは、「気になる症状があったから」が 76%と最も多かった。

2、 気になる症状があったと回答した患者さんにおいて、受診のきっかけとなった具体的な症状として、93%が「不正出血」と回答した。

3、 異常が見つかったもしくは症状を感じて婦人科を受診した患者の51%が、受診するまでに1 カ月以上かかっていた。

4、 異常が見つかったもしくは症状を感じてから婦人科を受診するまでに半月以上時間がかかった理由としては、「不正出血などの症状が子宮体がんと結びつかなかったため受診の必要性を感じなかった」の割合が 55%で最も高かった。

5、 診断前に知っていたら良かったと思う知識は「子宮体がんの初期症状」が 62%と最も多く、61%の患者が診断前により多くの知識を持っていたとしたら、「もっと早い受診につながる」と回答した。

【調査結果の詳細】

① 子宮体がんの診断前、医療機関を受診したきっかけは「気になる症状があったから」が 76%と最も多かった。
 子宮体がん診断前の医療機関の受診のきっかけについて伺ったところ、「気になる症状があったから」と回答した患者が76%と最も多く、次いで「婦人科がんの検査で異常が見つかった」(10%)、「婦人科系疾患の経過観察中に異常が見つかった」(8%)であった。
 子宮体がんの特徴として、早期から症状がみられることが多く、自覚しやすい症状であるため、約8割がステージⅠ~Ⅱの早期ステージで診断されている。

② 気になる症状があったと回答した患者さんにおいて、受診のきっかけとなった具体的な症状として、93%が「不正出血」と回答した。
 医療機関の受診のきっかけとして、「気になる症状があったから」と回答した患者に具体的な症状を聞いたところ、93%が「不正出血」を経験していたことが示された。不正出血は、子宮体がんの代表的な初期症状であり、帯下(おりもの)に少量の血が混じり褐色に見えるだけの場合もある。月経時以外で出血を繰り返す場合には、少量であっても放置せずに早めに医療機関を受診することが重要だ。

③ 異常が見つかったもしくは症状を感じて婦人科を受診した患者の51%が、受診するまでに1カ月以上かかっていた。
 異常が見つかったもしくは症状を感じて婦人科を受診した患者において、受診までにかかった期間は、「0~2 週間後」(37%)が最も多い結果となったた。その一方で、51%が受診するまでに1カ月以上経過 したと回答しており、初期から不正出血などの自覚症状が現れることが多い子宮体がんにおいても、診断が先延ばしにされている可能性が示された。

④ 異常が見つかったもしくは、症状を感じてから婦人科に受診するまでに半月以上時間がかかった理由としては、「不正出血などの症状が子宮体がんと結びつかなかったため受診の必要性を感じなかった」の割合が 55%で最も高かった。
 異常が見つかったもしくは、症状を感じてから婦人科に受診するまでに半月以上時間がかかった患者に、その理由を聞いたところ、「不正出血などの症状が子宮体がんと結びつかなかったため受診の必要性を感じなかった」と回答した割合が55%で最も高く、次いで「忙しくて時間が取れなかった」の26%であった。不正出血は子宮体がんの代表的な初期症状でありながら、その症状が子宮体がんによるものと理解されていないことで早期受診の機会を逸している患者がいることが示された。
 特に、閉経前は月経周期が乱れ易いものであるが、不正出血が続く場合は放置せず受診することが重要である。

⑤ 診断前に知っていたら良かったと思う知識は「子宮体がんの初期症状」が62%と最も多く、61%の患者が診断前により多くの知識を持っていたとしたら、「もっと早い受診につながる」と回答した。
 診断前に知っていたら良かったと思う知識では、「子宮体がんの初期症状」が 62%と最も多く、次いで「子宮体がんの発症リスク」の44%であった。子宮体がんの初期症状として最も多くあらわれるのが不正出血であり、さらに病状が進行すると、下腹部の痛みや腰痛、下肢のむくみなども症状として出ることがある。
 また、発症リスクとしては、出産経験がないことや、閉経が遅い、肥満があるが、糖尿病や遺伝性の腫瘍であるリンチ症候群などでも子宮体がんのリスクが高くなることが分かっている。
 診断前から疾患に関する知識をより多く持っていたとしたら、61%の患者が「もっと早い受診につながる」と回答しており、子宮体がんの認知の低さが診断遅れにつながっている可能性が示された。


 なお、調査結果のさらなる詳細は、https://www.astrazeneca.co.jp/content/dam/az-jp/press-releases/pdf/202502_ec.pdfより閲覧できる。

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