塩野義製薬は30日、UBE(本社:東京都)と共同開発を進めている新規respiratory syncytial(RS)ウイルス感染症治療薬「S-337395」について、P2試験(ヒトチャレンジ試験)において統計学的に有意なウイルス量の減少を示し主要評価項目を達成したと発表した。
同試験はRSウイルスを能動的に接種させた健常成人を対象に実施した無作為化、プラセボ対照二重盲検比較試験で、S-337395を1日1回、5日間経口投与した際の抗ウイルス効果および安全性を評価したもの。
その結果、S-337395投与群はプラセボ投与群に対して、統計学的に有意なウイルス量の減少を示し、主要評価項目を達成した。S-337395の最高用量群ではウイルス量を88.94%減少させ(P<0.0001)、統計学的に有意な臨床症状スコアの改善を示した。また、安全性・忍容性は良好であった。
S-337395は、経口の新規RSウイルス感染症治療薬で、RSウイルスの複製に必須なLタンパク質の活性を阻害し、ウイルス増殖を抑制することで効果を発揮する。また、同剤は、米国FDAよりファストトラック指定(Fast Track designation)を受領している。
RSウイルスは、鼻、喉、肺などの呼吸器に感染するウイルスで、乳幼児においては細気管支炎や肺炎などの重篤な病気を引き起こすことで知られているが、高齢者や基礎疾患を有する人においても、高い入院率や死亡率がみられ、深刻な呼吸器疾患の原因として近年問題視されている。
米国におけるRSウイルス感染症の潜在患者は、乳幼児と高齢者を合わせて、年間300万人以上いると推定されている一方で、RSウイルスに対する有効な抗ウイルス薬は存在せずアンメット・メディカルニーズが高い疾患の1つである。
なお、同件が2025年3月期の連結業績予想に与える影響は軽微である。