皮下注により点滴で30分かかったオプジーボ投与時間が3~5分に短縮
小野薬品は6日、PD-1阻害薬「オプジーボ」について、米国FDAがこれまでに承認された大半の同剤の成人固形がんの適応症に対して、Opdivo Qvantig皮下注(ニボルマブとヒアルロニダーゼ-nvhy)を承認したと発表した。提携するブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)が昨年12月27日に公表したもの。Opdivo Qvantigは、ニボルマブと組み換えヒトヒアルロニダーゼ(rHuPH20)を配合した最初で唯一の皮下投与が可能なPD-1阻害薬。 今回、オプジーボの単剤療法、オプジーボとヤーボイの併用療法後のオプジーボ単剤維持療法およびオプジーボと化学療法またはカボザンチニブとの併用療法で、これまでに承認された大半の成人固形がんの適応症に対して皮下注製剤のOpdivo Qvantigが承認された。同承認に伴い、これまで30分掛かったオプジーボ点滴静注が、3~5分に短縮して投与できるようになる。
FDAの承認は、P3相無作為化非盲検CheckMate-67T 試験の結果に基づくもの。同試験でOpdivo Qvantig は、オプジーボ点滴静注に対して、薬物動態学的な曝露に関する2つの主要評価項目において非劣性を、奏効率(ORR)において同等の有効性を示し、安全性プロファイルもオプジーボ点滴静注と一貫していた。
同試験で Opdivo Qvantigは、2つの主要評価項目である初回投与後28日目までの平均血清中濃度 (Cavgd28) および定常状態における最低血清中濃度 (Cminss) において、オプジーボ点滴静注に対する非劣性を示した。Cavgd28の幾何平均比(GMRs)は 2.10 (90% CI: 2.00-2.20)、CminssのGMRは1.77 (90% CI: 1.63-1.93) であった。
主要副次評価項目である奏効率(ORR)は、オプジーボ点滴静注群(n=247)が18%(95% CI: 14-24)であったのに対して、Opdivo Qvantig投与群 (n=248) は24% (95% CI: 19-30) でありOpdivo Qvantigの有効性は、オプジーボ点滴静注と同等であることが示された。
皮下投与によって、患者と医師にとって最も都合のよい場所で柔軟に治療を行うことが可能になり、治療薬の準備と投与に費やす時間を短縮できる可能性がある。
CM–67T 試験において、Opdivo Qvantig の平均投与時間は約5分であり、ほとんどの患者が投与中断や投与延期をすることなくすべての治験薬の投与を受けた。この承認に伴い、Opdivo Qvantigは最初で唯一の皮下投与が可能なPD-1阻害薬となり、患者は、30分かかるオプジーボ点滴静注よりも3~5分の短時間でがん免疫治療薬の投与を受けることができる。
オプジーボ点滴静注およびOpdivo Qvantigには、肺炎、大腸炎、肝炎および肝毒性、内分泌障害、腎不全を伴う腎炎、皮膚副作用を含む重篤および致死的な免疫介在性の副作用、他の免疫介在性の副作用として同種幹細胞移植(HSCT)による合併症、胚・胎児発生毒性、サリドマイド類似薬およびデキサメタゾンと オプジーボ点滴静注またはOpdivo Qvantigを併用(十分に管理された臨床試験以外では非推奨)した時の多発性骨髄腫患者における死亡率の上昇などの警告および使用上の注意が付与されている。
◆臨床試験ネットワーク責任者であるSaby George博士(ロズウェルパーク総合んセンターの腫瘍内科医、MD、FACP)のコメント
今回のニボルマブ皮下注製剤の承認は、ニボルマブ点滴静注と一貫した有効性および同等の安全性を実現できる新たな選択肢を患者さんに提供するものであり、患者さんを第一に据えた治療を実現できる可能性がある。
Opdivo Qvantig により投与時間が3~5分(皮下投与)に短縮される。患者さんは、医師と相談して新たな治療法を選択し、自宅に近い場所で柔軟に治療を受けることができる。
◆Adam Lenkowsky BMSエグゼクティブ・バイス・プレジデント兼チーフ・コマーシャリゼーション・オフィサーのコメント
私たちは、医療のあらゆる過程で患者さんを支えようとしている。この10年間、オプジーボは多くのがん腫での適応症で使用されるがん免疫療法の選択肢として進化してきた。従来より短時間で薬剤を投与できる新たな選択肢の登場により、がん患者さんをさらに支援できると期待している。
◆Audrey Davisがん患者擁護団体健康推進プログラム担当シニアディレクター(LPC)のコメント
がんと診断されるのはつらく恐ろしい。医療機関以外での色々な場所で柔軟に治療を受けられ、投与時間を短縮できる選択肢を患者さんに用意することが大切である。免疫療法治療薬の投与方法が進化し、困難な治療に取り組む患者さんとご家族の選択肢が増えるのは、素晴らしい。