ヘルスリテラシーテーマに中学生向け特別授業「私の健康のために、私ができること」開催 ジョンソン・エンド・ジョンソン

 ジョンソン・エンド・ジョンソンメディカル カンパニーは10日、BatonLinkと連携し、雲雀丘学園中学校・高等学校の中学1年生・2年生(約340人)を対象に、特別授業「私の健康のために、私ができること」を開催した。
 同特別事業は、ヘルスリテラシーの重要性について考え、身に付けるきっかけとすることを目的としたもの。BatonLinkは、教育サービス「クラスイズ」を運営している。
 「人生100年時代」といわれる現在、日本は世界一の長寿国であるにもかかわらず、ヘルスリテラシーに関する自己評価は、同社が調査した6カ国(日本・アメリカ・イギリス・オーストラリア・中国・フィンランド)中最下位という結果であった。
 また、中学校の教育現場においては、ヘルスリテラシーについて学習する機会が殆どなく、これからの人生100年時代を生きる中学生へのヘルスリテラシー教育は、大きな課題となっている。
 こうした中、ジョンソン・エンド・ジョンソン メドテックでは、ヘルスリテラシーを向上させ、一人ひとりが健康や医療との向き合い方を知り、行動することで、誰もが自分らしく生きられる社会を目指すプロジェクト「My Health, Myself ― 私の健康のために、私ができること。」を推進している。
 今回、同プロジェクトの一環として、ヘルスリテラシー向上を目的とした特別授業「私の健康のために、私ができること」を開催した。開催校となった雲雀丘学園中学校も、生徒にとって重要なテーマである「ヘルスリテラシー」について、教科の枠を超えて学びの機会提供に共感し、特別授業が実現した。

渡辺氏

 特別授業では、まず、講師の渡辺奈々美氏(G&Gメディカル カンパニー)がヘルスリテラシーについて、「健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力のことである」と説明し、「ヘルスリテラシーが低ければ健康に悪影響を及ぼす行動をとったり、病気の発見が遅れたり、入院や疾患罹患率を高めてしまう」と明言。
 その上で、「日本は世界的に見てもヘルスリテラシーの自己評価が低い」と指摘し、ヘルスリテラシーを高めるための3つの重要ポイントとして、①インプット︓医療・健康に関する情報を正しく収集し判断する力、②アクション︓自分の体調の変化に気付き、行動につなげる力、③コミュニケーション︓医療者に自分の考えを整理して伝えられる力ーを挙げた。
 3つのポイントのうち、「インプット」については、医療情報を収集する際に陥りがちな落とし穴についても解説。「誤った情報を鵜呑みにしないためには、情報の発信源やその信頼性を確認すること、SNS の情報だけで判断をしないことなどが重要である」と訴求した。

医師との診察時のコミュニケーションを再現したロールプレイング

 続いて、医師との診察時のコミュニケーションを再現したロールプレイングでは、生徒が患者役、岡原伸太郎氏(G&G日本法人グループ統括産業医)が医師役を務め、盲腸(虫垂炎)と脱臼(肩の脱臼)をテーマに、診察体験を行った。
 盲腸の患者役は、「3日後に推しのライブを控える中で、盲腸の可能性が発覚する」という設定で、ライブを優先し医師からの手術の提案を拒むパターンと、自身の症状や気がかりを正しく伝えられたパターンを実施。
 岡原医師からは、「重症化することもあるため、症状を正しく伝えないのは非常に危険。自身の状況も伝えた上で、具体的な手術方法や入院期間、傷の大きさ、費用など、わからない点は質問をすることが大切」とアドバイスしたた。
 一方、脱臼の患者役は、「柔道の全国大会出場に王手がかかる中で、練習中に4回目となる肩の脱臼をしてしまう」設定。このシナリオでは、「忙しそうな医師に話をしっかりと聞いてもらえず、一方的に手術をすべきと言われてしまう」パターンも体験した。
 ロールプレイングを終えた生徒に対して、岡原医師は、「どんな治療をするにしても、言いたいことを言えないと悔いが残る。心配なことはしっかりと医師に伝えて、納得のできる治療法を選択してほしい」と訴えかけた。

岡原医師が答える Q&A セッション

 最後に、生徒からの質問に岡原医師が答える Q&A セッションが実施された。「うつ病は、医師が診たらわかるものですか?」という質問に対して、岡原医師は「うつ病は検査で見える化しにくいため、専門家でも診断は容易ではない。診断は患者さんから聞くお話しで評価する部分が大きいので、ヘルスリテラシーの中でもコミュニケーションのスキルが特に大切になる」と回答。
 さらに、「多くの場合のうつ病は心の疲労骨折にたとえることができる。誰もがかかる可能性があるので、体調がいつもと違うと感じたら医師に相談して欲しい」と明言した。
 また、「1日2食が良いというのは本当?」という質問に対しては、「何を目的とするかによって、“良いこと”“効果的なこと”は変わる。中学生のみなさんは成長期。栄養素が足りないと骨がもろくなるなど成長に悪影響を及ぼしたり、勉強やスポーツのパフォーマンスが落ちることもあるため、注意しよう」と呼びかけ、その他さまざまな質問にも回答した。
 まとめとして岡原医師は、「ヘルスリテラシーは、長い人生を生きていくうえでは非常に重要な力。病気にならないために、また、今の人生を楽しむために、いろいろな情報に踊らされず、正しい情報を取得し、実行するようにして頂きたい」と改めてヘルスリテラシーの重要性を強調し、特別授業を締めくくった。
 ロールプレイングや Q&Aで登壇した生徒からは、「今まで病院で症状を偽ってしまうこともあったが、包み隠さず伝えることが大切だとわかった」「治療方針について医師にも相談していいということ、自分の思いを聞いてもらって一緒に考えてもらえることが分かった」「この特別授業を受けていない人にも、ヘルスリテラシーの大切さを伝えたい」などの感想が寄せられた。

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