早期アルツハイマー病治療薬「ケサンラ」 11月26日に新発売 日本イーライリリー

 日本イーライリリーは20日、早期アルツハイマー病(AD)治療薬「ケサンラ」(一般名:ドナネマブ)について、11月26日に新発売すると発表した。発売は、20日の薬価基準収載を受けてのもの。薬価は、ケサンラ点滴静注液350mg 20mL 1瓶6万6948円。
 ケサンラは、脳内アミロイドβプラークを標的とするヒト化抗N3pG Aβモノクローナル抗体製剤で、アミロイドβプラークが除去された時点で投与を完了できる最初で唯一のエビデンスを持つ早期AD治療薬である。
 P3相TRAILBLAZER-ALZ 2試験では、ケサンラによるアミロイドβプラークの除去により認知機能低下及びADL(日常生活動作)低下の抑制効果が示された。また、投与12ヵ月後に、ケサンラを投与した試験参加者の66%において、アミロイドPET検査の視覚読影で陰性に相当するアミロイドβプラークの除去が認められた。なお、アミロイドβプラークの除去が確認されない場合であっても、同剤の投与は原則として最長18ヵ月で完了する。
 同剤は、「アルツハイマー病による軽度認知障害及び軽度の認知症の進行抑制」を効能又は効果として、日本国内における製造販売承認を本年9月24日に取得した。同剤を投与する場合、通常、成人にはケサンラ(遺伝子組換え)として1回700mgを4週間隔で3回、その後は1回1400mgを4週間隔で、少なくとも30分かけて点滴静注する。
 ケサンラの投与により、アミロイドβを標的とする治療に共通する副作用であるアミロイド関連画像異常(ARIA)およびinfusion reactionなどの重大な副作用を引き起こす可能性がある。
 日本イーライリリーは、副作用のモニタリングおよび一定数の症例に係るデータが集積されるまで、ケサンラを投与された全ての当事者を対象に特定使用成績調査(全例調査)を実施する。また、ケサンラを必要とされる人が安全かつ適切に使えるように添付文書および最適使用推進ガイドラインに則った情報提供活動に注力する。

◆小松靖也日本イーライリリー ニューロサイエンス事業本部本部長のコメント 35年以上の研究開発の結果、超高齢社会の日本において、ケサンラを早期ADの当事者の方々へお届けできることを大変嬉しく思っている。ケサンラにより当事者が自分らしい生活を送る時間を維持することに貢献できるだけでなく、投与が完了できるという特徴と4週に1回(少なくとも30分かけて投与する)の治療スケジュールは、当事者や家族、医療従事者の負担軽減につながる可能性があると考えている。
 薬剤の恩恵を当事者が最大限享受できるように、認知症の早期発見、診断、AD治療の重要性についての理解促進に努める。また、当社は今後も引き続き、認知症への理解を深め、当事者やその家族、医療従事者、ステークホルダーと協力して「認知症と共生する社会」の実現に向けて尽力する。

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