バイエル薬品は19日、同社と循環器領域の後期開発品を手掛けるバイオ製薬企業である米国Cytokinetics社が日本における心筋ミオシン阻害剤「aficamten」の開発および商業化に関する独占的提携およびライセンス契約を締結したと発表した。aficamten は、閉塞性・非閉塞性肥大型心筋症に対する治療薬候補の心筋ミオシン阻害剤である。
同提携契約は、Cytokinetics社が有する aficamtenの広範な臨床開発プログラムと、アンメットメディカルニーズのある専門性の高い心疾患に対するバイエル薬品の日本における開発・商業化に関する知見と専門性を活用し、日本で上市することを目的としたもの。日本人患者を含む一部の国際共同臨床試験をCytokinetics社が実施することを前提としている。
同提携契約に基づきCytokinetics社は、契約一時金として 5000万ユーロを受領し、さらに発売後のマイルストーン達成に応じて最大 9000万ユーロ(うち 2000万ユーロは近い将来の後払い一時金)を受領する資格を有する。また、バイエル社が特定の売上マイルストーンを達成した場合には、最大4億9000万ユーロの商業化マイルストーンを、さらに日本におけるaficamtenの売上に応じた段階的ロイヤルティを受け取る。
aficamtenの共同開発計画に基づき、バイエル薬品は閉塞性肥大型心筋症の日本人患者を対象としたP3試験を実施する。一方、Cytokinetics社は、非閉塞性肥大型心筋症患者を対象に実施中の国際共同P3試験 ACACIA-HCM、および閉塞性肥大型心筋症の小児患者を対象に実施中の臨床試験 CEDAR-HCM を日本に拡大し、日本でバイエル薬品によるaficamtenの承認取得を支援する。
aficamten は、米国FDAおよび中国国家食品薬品監督管理局(NMPA)より今年初めに、症候性閉塞性肥大型心筋症の治療薬として画期的治療薬指定(Breakthrough Therapy Designation)を受けている。
◆イン・チェンバイエル薬品代表取締役社長のコメント
これまでの研究開発で明らかになったaficamtenの可能性に大変期待しており、この治療薬を日本の患者さんに一日でも早くお届けしたいと考えている。今回の提携によりバイエル薬品は、バイエルグループが培ってきた創薬、薬事、商業化、ライフサイクルマネジメントに関する幅広い専門知識を活用し、日本における循環器領域への長年にわたるコミットメントをさらに強化していく。当社は Cytokinetics 社との連携を通し、アンメットメディカルニーズの高い循環器疾患の患者さんに画期的な治療法をお届けするという使命を果たし続けていく。
◆ロバート・I・ブルームCytokinetics社社長兼最高経営責任者のコメント
米国および欧州におけるaficamtenの商業化を実現するにあたり、バイエルグループの循環器領域における取り組みと専門知識を活用し、より多くの肥大型心筋症の患者さんに aficamten を届けることができる可能性を広げる提携契約を同社と締結できることをうれしく思う。この日本に関する重要な取引は、当社の革新的な科学技術への潜在的アクセスを拡大するための豊富なコラボレーションの歴史に続くものである。