東北大学病院、愛知県がんセンター、MICINと治験でeConsentによるプレスクリーニング開始 武田薬品

患者の臨床試験へのアクセス向上による治験参加の広がりに期待

 武田薬品は9日、東北大学病院、愛知県がんセンター、MICINと連携し、武田薬品が実施する治験の一部において、医療機関のネットワークと eConsent(電磁的方法によるインフォームド・コンセント)を活用したプレスクリーニングを東北大学病院と愛知県がんセンターで開始したと発表した。プレスクリーニングの開始は、患者の臨床試験へのアクセス向上を目的としたもの。
 かかりつけの医療機関でプレスクリーニングの実施が可能となることで、患者は、治験への参加が決定する前の段階での治験実施医療機関への通院が不要となり、患者の負担軽減に寄与する。加えて、日本のどこに住んでいても治験に参加できる可能性を探ることができるため、より多くの患者に対する治験参加の可能性の広がりが期待される。特に、希少疾患の治療法開発においては、新たな治療法をより迅速に患者に提供できるようになる。
 eConsentは、従来「紙」の文書を用いて実施していた説明同意行為に関して、タブレット端末等のデジタル機器を使用し、同意説明文書の電子閲覧、動画視聴や理解度チェックテストの実施および電子署名等といった一連の同意説明・取得行為を電磁的な方法で対応することを意味する。
 今回の取り組みでは、治験への参加を検討する患者さんの一部の適格性や同意の確認を行うプレスクリーニングのプロセスに DCT(Decentralized Clinical Trial)を導入する。DCT は、デジタル技術を活用した、リモートで実施が可能な治験の手法である。プレスクリーニングでは、治験への参加を検討している患者に治験の目的や内容などを説明し、プレスクリーニング参加への同意を確認するステップがる。
 同取り組みでは、患者の紹介元病院(パートナー医療機関)と、治験実施医療機関である東北大学病院または愛知県がんセンターをオンラインでつなぎ、MICINが提供する DCT プラットフォーム「MiROHA(ミロハ)」の eConsent を使用して、治験実施医療機関がリモートで、治験の目的や内容などの説明およびプレスクリーニング参加への同意の確認を行う。

◆梶井靖武田薬品 R&D ジャパンリージョン ヘッドのコメント
 患者さんの治験へのアクセス向上を目指す当社のDCTの取り組みは、患者さんを中心に据えて意思決定を行う当社の価値観と合致している。本取り組みが患者さんの治験参加への可能性を広げ、ひいては医薬品の研究 ・開発への患者・市民参画(Patient and Public Involvement: PPI)につながることを期待している。
 今後も当社は、治験環境や治験情報へのアクセスを改善し、研究・開発の段階から患者さんに寄り添い協働することで、引き続き革新的な医薬品を創出していく。

◆張替秀郎東北大学病院病院長のコメント
 DCT の導入により、患者さんの移動負担が軽減され、より多くの人が治験に参加できる環境が整う。特に、希少疾患の治療法開発においては、新たな治療法をより迅速に患者さんに提供できるようになることが期待される。 当院は、臨床研究中核病院として質の高い医療を提供するための革新的な取り組みを今後も積極的に推進していく。

◆山本一仁愛知県がんセンター病院長のコメント
 リモート治験は、日本のどこにいても治験に参加できる仕組みで、日本では当院で初めて開始された。治験を行うには、多くのステップがあるが、今回は治験の最初のステップ、治験に参加できるかどうかを地域の医療機関と共同で確認を行い、日本のどこに住んでいても治験に参加できる可能性を探ることができるようになりる。
 このような取り組みにより、治験に参加を希望している患者さんに治験参加の可能性が広がること、さらには治験の促進に繋がることを期待している。

◆原 吾MICIN代表取締役のコメント
 多様な疾患領域で革新的な医薬品を創出している武田薬品と、治験実施医療機関として豊富な経験を有する東北大学病院、愛知県がんセンターと MICIN の連携によるeConsent を活用した本取り組みが、患者さんの治験参加機会の創出をはじめ国内の治験環境改善に寄与することを期待している。
 DCT のリーディング企業として、日本の DCT 基盤を創れるように邁進したい。

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